02.姫と騎士と姫
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最後に、彼女たちがよく立ち寄っている酒場へ足を向けると、当の本人達が酒盛りをしているところに遭遇してしまった。
「クジュラさんだ!!」「まじだ」「おい希羽、声かけろ!」「む、むり、むりむり、かたつむり」「無理じゃない、行きなって!」
横を通る際に小声でつつき合っているのが聞こえたが、何食わぬ顔でマスターの所へ行く。
「おう、クジュラじゃなイカ!!何の様ダ?」
「…あそこで飲んでいるギルドについて聞きに来たのだが…」
「ほう、ブッキングしてもうたと言うことだな!?タイミング悪いナ~。ま、そう言うことなら直接本人らに聞くと良いヨ!海市蜃楼~!希羽~!クジュラがコッチに来いってサ!」
「おい待て」
「呼ばれた!」「行け希羽!」「やだみんなも来て無理」「かたつむりじゃねんだよ!」
他のメンバーに押され恥ずかしそうに瞳を揺らしながら、希羽がこちらに来る。そして俺の隣に座った。
「し、失礼しま~す」
「ああ」
「えっと…奇遇ですね。お酒飲まれにきたんですか?」
「いや、そう言う訳じゃなかったんだが」
「希羽に告白しにキタ…と言ったラ?」
「え!??」
そんな訳あるか。どうしてどいつもこいつも俺と希羽をくっ付けたがるんだ?
「違う。単刀直入に言うが、お前達、どうして深都側に付いたんだ」
「え!??」
「さっきと同じリアクションをとるな」
「あ、すみません、割と酔ってるものでフワフワしちゃってて…えっとなんですっけ」
「何で、深都側に、付いたんだ!」
「なん…え?別にそんなつもりありませんけど」
「ならどうして俺たちの邪魔をする」
「邪魔…?邪魔してるのはクジュラさんでしょ?あ、そうだ。もう、私怒ってるんですよ!ゲートキーパーめちゃくちゃ強かったんですから!」
「お前たちがけしかけたんだろう?」
「あれが私たちまで襲うなんて知らなかったんです~、あなたがあんなに上手いこと避けて先に行くなんて思ってなかったんです~」
希羽はさっきまでの遠慮がちな態度とは打って変わって、不機嫌そうに口を尖らせて両手でグラスを呷る。
「だいたい、クジュラさんは!私たちのこと嗅ぎ回るんなら、どうして直接聞きに来て下さらないんですか!」
「何故怒っているのかわからないんだが?」
「元老院に行く度にあなたが居るか確認してたのに、なんかいっつも居ないし」
「迷宮に潜ったり色々しているんだから仕方がないだろう」
「仕方なくないです!だって…だって私、ずっとこんな風にあなたとお話したかったんですよ…?」
「……」
「おお…クジュラ、今、トキメキ感じタ?アタシ、ヤバかった。希羽ったら死ぬほど可愛かったナ…小悪魔って奴カナ~…」
「何も感じてない…」
「とか言って希羽から顔まで逸らしちゃってル癖に!」
「急にマスターと二人だけで会話しないでくださ~い、私も混ぜて!」
「ともかく、お前たちも思っていた事と違った展開になってきていると言うことか?」
「そうです。だいたい元老院も深都もどっちも胡散臭すぎるんですよ。私たちはただ迷宮を解明したいだけなのに」
「だったら何故こちらに…いやもういい。お前たちも迷宮に魅入られただけのくだらない冒険者ということがよくわかった」
「…くだらなくとも、信念は持ってますし。それは例えあなたにだって馬鹿にされたくはありません」
「ほう、どんな信念だ?」
「私たちを助けてくれた人に報いたい。だから、お姫様とか元老院は関係なく、あなたの為になるんなら味方しますよ。私たちは」
「…なら敵対するのをやめろ、今すぐ。それが俺の為になる」
「そもそも敵対してませんって」
「邪魔をしているだろう」
「邪魔はそちらがしているんです」
「いやそっちだ」「いえそちらが」
「あら~、息ピッタリですネ。さてはメオト漫才を始める気か!?」
「わ、良いなぁそれ。ねぇクジュラさん、戦うのやめてそうしましょ?平和が1番ですよ」
「アタシもそう思イマス。ラフアンドピーース…」
「やめろ、話をややこしくするな。…もういい、帰らせてもらう」
「漫才のオチだナ」
「え~、もうお帰りなんですか?」
「!…ああっと!?希羽が寂しがってル!?お持ち帰りされますかッ?!」
「うるさいもう行く俺の奢りだじゃあな」
「「ヤダー!!」」
希羽とマスターの嘆きを後に、さっさと店を出た。