4章 エバーネバーエンバーエデン

ユリンの感情や行動を受け取り、深く、深くそれらを受け止めた。
そうして見えてきたのは、フェオと共感する部分があった事。自身の孤独と寂しさから共鳴してしまった事が原因だったのかもしれない。

「フェオがあの時共感していたのは、そういう事だったのか…。」

今回の出生で異質な存在として、でも自分は受け入れられながら生きてこの4周目を歩んできた。
境遇という点に関してはまるで真逆ではあるけれど、最初の抱えていた想いは同じくただ純粋に愛しい人に会いたいという理由だけ。

いくつかのピースを頭の中で巡らせていた。
完全に戻すことは人間である自分たちには出来ない。
だけれど、その理を壊せる存在がたったひとつだけ選択肢に残っている。
完全に修復して元に戻せるのは12神だけだ。

「1周目の世界に行って、死んだ後のシオンと入れ替わり、フェオを抑え込むことは可能だろうか…。」

「随分な無茶を言うわね。全てを救おうとするならそうなるでしょうけれど、それには交渉材料が必要よ。」

「だからと言って、何かを犠牲にしていいなんてことは考えていないよ。それこそ、何かを担保にしてまでなんて、俺には出来ない。」

「マスターから何か言われてるの…?」

「悪魔族の彼がエターナルへの出入りを制限する事を交渉材料に、1回目の“時”に戻し、フェオにかけられている呪いが発動しないように魔力炉を操作すれば全て元通りだ、と。」

「シオンは、それについてどう思うの。」

真っすぐとこちらを見つめる彼女の表情はとても複雑そうだった。
それはそうだろう、今回ここまでこれたのはあの人のおかげでもあるのだから。

「良い訳がない。それじゃまた誰かの犠牲で願いを叶えて、これまでと同じになるじゃないか。俺は、この4周目で、みんなが作ったこの世界のままで変えていこうと考えてる。」

そうしなければ、これまでみんなが行ってきた事もリセットされて記憶から無くなってしまうだろう。1周目に戻して、その後どうなるかなんてわからない。12神から何を求められるかが予測できない以上、全て元通りになってハッピーエンドとはいかない事くらいわかりきっている。

「ユリンの治療は、今後どうにか対策を考えたい。でもその前にフェオの件を片付けないと何も進まない。どうなるかわからない未来を、12神の選択にゆだねられない。俺達が歩んできた道をそのまま繋げたい。交渉材料は、俺自身がフェオと交渉して、諸悪の根源とされている能力を断ち切って形を変える。それで神様も納得してくれる、と思いたいな。あとは、まだわからない。どうなるかもわからないけど。」

「ふふ、シオンらしい。人間臭くて、何も諦められなくて、でも今回は自己犠牲じゃなくてみんなの力を借りて進もうとしてる。凄く素敵よ。」

「ユリンには後で話しておいてくれるかな?」

「任せて。」

「俺なりの考えを君たちのマスターに伝えてくるよ。」

「じゃあ、戻りましょうか。」

今度こそゆっくり落ち着いて日々を過ごせるように。白い部屋の中で穏やかに眠りについているユリンを見て、自身のやるべき事を思い返して意を決す。

来た道を戻り、館の中へと戻る事にする。
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