4章 エバーネバーエンバーエデン

「この能力は一体どこから生み出されたんでしょうか。」
「別の世界の住人だがね、遠い昔に君の能力のオリジナルがいたんだよ。それをユリンが見つけ出して過剰な代償を支払って呼び覚まし、君に宿した。だからこそ君の魔力炉は歪みきり、本来の属性とは異なる魔法が使えているのさ。人の肉体ではない“何か”だからこそね。それで、自分という存在すらも代償に、運命を騙してユリンとユリア、そしてちしは契約を結んでこの道を選んだ。」
「彼女たちが俺に為すべきことを託したみたいだ。」
「みたいじゃなくてそうだと思うけれどね。この先でその力をどう使うかは君次第だ。」

もう一度考え直してごらんと一言告げると、肩をそっと叩いてどこかへ消えて行ってしまった。
目の前で楽しそうに模擬戦闘を行う見覚えのある姿を眺めながら、これまで自分に託されてきたものたちを振り返る。

ここへ来てから出会った人は皆それぞれ自分の特別な力のせいで苦労してきている。妬まれ、蔑まれ、厄介払いされ。それに比べて自分はどうだ?自分が疎まれなかったのは、最初から特別だと周りに知られていたからなのだと、恵まれていた環境下にいたことに今更気付かされる。

彼らの魔力炉を、放たれる魔法の術式を見ればそれが過去の自分たちが扱ってきた魔法の威力とは大きく異なる事くらい、今の自分にはハッキリとわかる。
きっと何時間、何発それだけの威力で撃っても魔力切れで枯渇することはない。
魔法を発動する際の術式なんてものが存在していない。
逆をいえば、それだけの魔法を消費しなければ魔力が器を破って大変なことになるという事だ。だからこそ、あの人たちにはこの場所が必要なんだ。
エターナルでこれだけの強力な魔法を放てば、きっと代償となるものが大きくなってしまう。だからと言ってガス抜きをしなければ、彼らの命に関わるだろう。

きっと、この世界(レヒューズ)にかけられた魔法は酷く優しく、そしてとても難しい操作の術式。
特別であるからこそ、居場所として帰るべき場所を作る為の希望だ。

「自分が帰る場所、か。」

自分が帰るべき場所は、本来きっとここじゃない。4度目を迎えたこの場所でもない。
最初の、一番最初のあの過去の記憶の中で、野営しながら笑っていたあの空間が、きっと自分が本来いなければならない場所だった。

触れずに平和に要られるなら、このまま何もしない選択肢を選びたい。滅びてしまっても、正直死んだ後の事なんてどうでも良いと投げ捨ててしまいたい。
何もしない方が平和に過ぎ去るのではないかと思い込みたい。
このままの状態でいてしまえたら、どんなに楽だろう。

それでも、こんな逃げ腰な自分でも皆は託してくれた。
きっと今度こそはやってくれると。

「ちし、聞こえてるんだろう!」
「わっ!」

木の上から微かに気配がすると思ったら案の定、彼女は遠いところにいるようできっといつもそばにいてくれていた。

「なんでわかったの?今まで気が付かなかったじゃない。」
「その逆で、俺が気付けていなかったんだ。ただ、今それに気付けただけ。」
「ふふ、なにそれ。変なの。」

ガサガサと小枝を掻き分けて姿を現すと、そのまま横に座り込んだ。

「吹っ切れたみたいね。」
「おかげさまで。」
「じゃあ、これも教えなきゃね。約束したもの、過去の貴方と。」
「約束?」
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