4章 エバーネバーエンバーエデン
「主犯、主犯か。ふふ、それで言うなら運命という破れないルールを作った12神よりもさらに上にいる創造主が主犯になるかな。」
「創造神、ということですか?」
「創造神によって生み出された12人の存在、それが12神。彼、彼女らは世界のバランスを保つ存在に操られて動いている。そして、創造神が生み出した生物には“運命”というものが決められている。地上にいる生き物は等しく、その見えない運命を変えられないようになっているんだ。私からすれば創造神こそが諸悪の根源のようなものだけれどね。」
「えっと、スケールが大きすぎて理解が追い付かないのですが…つまり、創造神が自分の遣いとして12神を作った。そして12神は、この世界が上手く回るように動いている、という認識で合ってますか?」
「あっているよ。そして、運命を変えようと巨大な魔法を使うと、そのバランスが崩れ始める。代償になるものは12神よりもさらに上の創造主によって選定される。それが不完全すぎる魔法というシステムだ。」
「俺が経験してきた事や、みんなに起きた事象は運命によって避けられず、既に決まっていた。でも、歴史を改変させた魔法やこれまでの強い魔法の代償の影響で、今も12神の手によって修正が入り続けている、と。」
「そうだね、おおよそはあっている。しかし、よくよく考えてみれば全てが矛盾しているだろう?魔法さえなければ、とね。」
不完全な魔法という存在。それさえ失くしてしまえばすべてが解決してしまうように考えるのは自然な事ではないだろうか。
でも、世界を存在させるために必要なものでもあり、世界のバランスを崩してしまう矛盾したもの。
それに、12神という存在も完璧ではない。愛の女神であるシュウレだって神様とはいえ感情的な部分があった。世界を管理する存在でありながら、感情を持つという事は差別や偏見が生まれる事にもつながるはず。なのに、創造神はそれを無くそうとはしなかった。
その理由がどうしてなのかは、まさに神のみぞ知るといったところか。
「魔法を無くせばいいのにと。誰しもが考えるけれど、それをしない理由がある、という事ですよね。」
「どうしてこの世界が矛盾と不完全なまま放置されているのかは、それこそ創造神のみが知るところだろう。とはいえ、君が歩んできたこれまでの事を含め、最初のきっかけを生んだのは私自身でもある。これには、そうだな…」
彼はうーんと悩むような素振りをしてから、ちらりと湖の奥にある木を指す。
「ちし、おいで。」
風と共に流れてきたほんのり甘い花の香り。
薄紫色の花びらが風に舞い、その奥に黒いワンピースを着たブロンドヘアーの彼女がいた。
「ちし…。」
久方ぶりに会う彼女はどこか気まずそうに、少し躊躇いながら黒い翼を羽ばたかせながらこちらへ飛んでくる。
「シオン、久しぶり。」
目を泳がせながら、何を離せばよいか少し悩んでいるようだった。
先ほどキュシスタの口から出た“共犯”とは、彼女のことだろうか。
ちしには、ユリアの記憶が眠っている。記憶となってしまった彼女と共存している、といった方が良いのか。
どうして自分の過去の記憶がないのか、そのカギに触れる度に少しずつ思い出すようになっているのか、あの小さな村で一緒に過ごしていたのかを聞くことが出来る。
「あの、あのね。私も何から話せばいいかわからないのだけれど…。」
これまで悪役を演じていたであろう彼女からは想像が出来ないほど幼く見えた。
それはまるでユリアやちしを見ているのとも、またどこか少し違っている。
「創造神、ということですか?」
「創造神によって生み出された12人の存在、それが12神。彼、彼女らは世界のバランスを保つ存在に操られて動いている。そして、創造神が生み出した生物には“運命”というものが決められている。地上にいる生き物は等しく、その見えない運命を変えられないようになっているんだ。私からすれば創造神こそが諸悪の根源のようなものだけれどね。」
「えっと、スケールが大きすぎて理解が追い付かないのですが…つまり、創造神が自分の遣いとして12神を作った。そして12神は、この世界が上手く回るように動いている、という認識で合ってますか?」
「あっているよ。そして、運命を変えようと巨大な魔法を使うと、そのバランスが崩れ始める。代償になるものは12神よりもさらに上の創造主によって選定される。それが不完全すぎる魔法というシステムだ。」
「俺が経験してきた事や、みんなに起きた事象は運命によって避けられず、既に決まっていた。でも、歴史を改変させた魔法やこれまでの強い魔法の代償の影響で、今も12神の手によって修正が入り続けている、と。」
「そうだね、おおよそはあっている。しかし、よくよく考えてみれば全てが矛盾しているだろう?魔法さえなければ、とね。」
不完全な魔法という存在。それさえ失くしてしまえばすべてが解決してしまうように考えるのは自然な事ではないだろうか。
でも、世界を存在させるために必要なものでもあり、世界のバランスを崩してしまう矛盾したもの。
それに、12神という存在も完璧ではない。愛の女神であるシュウレだって神様とはいえ感情的な部分があった。世界を管理する存在でありながら、感情を持つという事は差別や偏見が生まれる事にもつながるはず。なのに、創造神はそれを無くそうとはしなかった。
その理由がどうしてなのかは、まさに神のみぞ知るといったところか。
「魔法を無くせばいいのにと。誰しもが考えるけれど、それをしない理由がある、という事ですよね。」
「どうしてこの世界が矛盾と不完全なまま放置されているのかは、それこそ創造神のみが知るところだろう。とはいえ、君が歩んできたこれまでの事を含め、最初のきっかけを生んだのは私自身でもある。これには、そうだな…」
彼はうーんと悩むような素振りをしてから、ちらりと湖の奥にある木を指す。
「ちし、おいで。」
風と共に流れてきたほんのり甘い花の香り。
薄紫色の花びらが風に舞い、その奥に黒いワンピースを着たブロンドヘアーの彼女がいた。
「ちし…。」
久方ぶりに会う彼女はどこか気まずそうに、少し躊躇いながら黒い翼を羽ばたかせながらこちらへ飛んでくる。
「シオン、久しぶり。」
目を泳がせながら、何を離せばよいか少し悩んでいるようだった。
先ほどキュシスタの口から出た“共犯”とは、彼女のことだろうか。
ちしには、ユリアの記憶が眠っている。記憶となってしまった彼女と共存している、といった方が良いのか。
どうして自分の過去の記憶がないのか、そのカギに触れる度に少しずつ思い出すようになっているのか、あの小さな村で一緒に過ごしていたのかを聞くことが出来る。
「あの、あのね。私も何から話せばいいかわからないのだけれど…。」
これまで悪役を演じていたであろう彼女からは想像が出来ないほど幼く見えた。
それはまるでユリアやちしを見ているのとも、またどこか少し違っている。
