『ひかるんHAPPY BIRTHDAY♡』
『ひかるちゃんおめでとー！！』
『今日も超かわいい！ひかるちゃんが1番だよ！おめでとう！』



「…『みんなありがとう♡これからもひかるのことよろしくね♡』…っと」



午前0時を回るとSNSには多くのお祝いメッセージ。中にはギフト券を贈ってくれるフォロワーもいた。
私のこと好きって言ってくれる人はみんな好きだから大事にしたいよね！
今日は大好きな友達とデートの予定もあるし楽しみがいっぱいで幸せすぎ！



＊



『光瑠本当にごめ〜ん！！』
『信じられない。ご飯奢りじゃなきゃ絶対許さない。適当に時間潰して待ってるから』



待ち合わせの時間になっても来ないから何かと思ったら寝坊？
今日なんの日だと思ってるの？私の誕生日なんですけど！
気分最悪！せっかく可愛くしてきたのに！



＊



「…味うっす」



時間潰すためにカフェに入ったけど頼んだドリンクの味が薄い。たぶん新人のバイトの子が淹れたんだろうけどさ…。
おかげで気分は余計に落ちていく一方だ。



せっかくの誕生日なんだから幸せな気分でいさせてよ───！



「お待たせしました。ケーキセットになります」



突然頼んだ覚えのないものを運ばれて私は困惑した。
すると店員さんが「あちらの女性の方からです」と二つ隣の席に座ってる人を指す。
見た目は私と同い年くらいだけど彼女に見覚えはない。
「メッセージカードをお預かりしております」とそれも一緒に渡されたので中身を確認することにした。変なこと書いてあったら晒してやるわ。



「………ふうん」



＊



「おまたせ！！光瑠本当にごめんね！！…ってなんか機嫌いい？」
「ふふん、ちょっとね〜！じゃあ行こ！ご飯奢ってくれるんだよね♡」



私は私のことを好きでいてくれる人を大事にしたい。
だからあの子のことはずっと大事にしたいと思った。



『SNSいつも見てます！いきなりで驚かせてしまうかもしれないけど私からの気持ちです。素敵な誕生日になりますように！』



このメッセージカードは私の宝物────。




2021.12.27
「望月光瑠の幸せの形」