これは本当にごく一部の人しか知らない情報。
とある時間に保健室の扉を3回ノックする。
すると「赤ワイン」と聞かれるので「［非公開情報］」と返事をする。
それが合っていればようこそと招き入れるの。
私との秘密の時間を共有させてあげる────。



＊



コンコンコン



「赤ワイン？」
「［非公開情報］」
「ふふ、その声は桐ヶ谷先生ね。ようこそ待ってたわよ」
「ん…今日はいつもより豪華ですね。これって数量限定の？」
「そう！今日の朝並んで買ってきたのよ〜。桐ヶ谷先生は運がいいわね！」



2人で今日の主役の話をしている時だった。
閉めたはずの扉がガタッと開きその音に反応し振り返ると───。



「…み、密会！？」



＊



「今のところ桐ヶ谷先生と音楽の斎藤先生しか知らないんだけれど…ばれちゃったわね」
「あの…お2人はここで何を…」
「見ての通りよ」



テーブルには色とりどりのケーキが並んでいて、それはまるで小さなお茶会が開かれているようだった。



「というか北乃先生はどうしてこの時間にいるんです？」
「わ、私は今日午後授業がないので。それに今日は紫音先生の誕生日だからプレゼントを渡そうと思って…。そしたらこんな…」
「私にプレゼント用意してくれたの？嬉しいわ〜！とりあえず生徒たちにバレないように始めちゃいましょう！」
「そうですね。私からもプレゼントがあるのでよかったら一緒に」



＊



とある時間に開催される秘密の甘い時間。
今日はいつもより特別なひとときを───。






2021.10.19
「村山紫音の秘密の甘い時間」