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誕生日SS(2021.05〜2022.03)





「どうしたのその大荷物」



両手に紙袋を抱えた俺を見て彼女は言った。



「ああこれ全部俺宛のプレゼント。ありがたいよね本当に」
「あなたってなんでもない日にもそんなにプレゼント貰うの?」



その何気ない一言にはっとする。
そういえば天川さんに誕生日だってこと伝えてなかったかもしれない。
実は…と伝えると「ああ、そうなの。おめでとう」といつも通りの様子でお祝いの言葉をくれた。



「…ちょっと忘れ物してきちゃった。取りに行ってくる」
「ん、いってらっしゃーい」







しばらくすると片手に飲み物を持って彼女は戻ってきた。



「教えてくれてたら私もお菓子とか用意できたんだけど…。これ私からの誕生日プレゼントってことで受け取ってくれる?」



突然のことに頭が追いつかなかった。
忘れ物を取りに行くと言って俺の誕生日プレゼントを用意してくれたってこと?
天川さんが…俺のために───?



「やばい…超嬉しいんだけど!」



もらった飲み物を大事そうに見つめていると「そんなに?」と笑いながら彼女は言う。
違うんだよ、天川さんからもらったってことに意味があるんだ。



「ありがとうね、今日一番嬉しい!」
「ふふ。それならよかった」
「これしばらく家に飾るね」
「今すぐ飲んで」







今日はたくさんの人にお祝いしてもらって嬉しかったけど、やっぱり好きな人からの言葉は特別だ。
付き合ってるわけじゃないから来年もこうしてお祝いしてもらえるかわからないけれど、今だけはこの小さな幸せに浸ってもいいよね。






2021.10.02
「神田優輝と小さな幸せ」
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