※なごもん→神田優香のHN
西宮→前園翼のHN



『西宮くんは自分の誕生日って好き？』



日課のマルチクエストを消化中に
優香は唐突にそんな話をした。



『好きか嫌いかってよりもあんまり興味ないですかね』
『私はねちょっとだけ好きになれた』
『なごもんさん何かありました？』



翼がそう問うと『実はね今日誕生日だったんだ』と優香は言う。



『私自分に自信がなくて、今までお祝いされても本当に思ってくれてるのかなってどこか疑ってたの。

でも今年は友達が私のためにサプライズでケーキを作ってくれたの。それって完全に私のためなんだけど思わず聞いちゃったの。「私のためだよね？」って。

そしたらとびっきりの笑顔で「もちろん！」って言ってくれたの。私それが本当に嬉しくって、でも少しでも疑っちゃったのが申し訳なくて泣いちゃったんだよね』

『それはすごくいい話じゃないですか？というか誕生日くらい言ってくださいよ』



ピロンと音が鳴り『西宮さんからギフトが届いてます』とメールが来た。



『へへ、ありがとう。西宮くんはちゃんと思ってくれてるのかな？』
『何とも思ってない人に普通はサプライズケーキとか特別な誕生日ギフトとか贈らないんですよ』
『そうだよねー…っとそろそろ時間だね』



時計は夜中の0時を指そうとしていた。



『じゃ、なごもんさんお誕生日おめでとうございます。またいつもの時間に』
『ありがとう！またね〜！』



＊



あんまり好きになれなかった誕生日。
けど奈々と茜、西宮くんと出会って
ほんの少し好きになれた。

私のことを考えて、私のためにしてくれたこと。
今度は私がお返ししてあげたい。


みんなにとって素敵な誕生日を過ごせるように。




2021.06.08
「神田優香と他人の好意」