第2話
現皇帝の世界王には三人の子供がいる。
現宰相の娘である正妃の産んだ第一皇女と第一皇子「斎王」。
そして一番末にあたるのが、側室を母にもつ第二皇子「覇王」である。
もともと覇王の母は、東の辺境に小さな領土を構える子爵家の出身で、200人を超える世界王の妃の中でもかなり低い地位にいた。
しかし後宮の多くの女性が皇帝に出会えずにいた中、彼女は偶然にも皇帝の寵愛を受け、覇王を産んだ。
覇王はごく幼い頃からあらゆる分野に特化した皇子だった。
そこで宰相一族の長年に渡る天下を苦々しく思っていた一部の貴族達は、覇王を次の皇帝として担ぎ上げる準備を始め、察知した宰相側と水面下での争いを繰り広げることとなった。
こうしてまだ子供だった二人の皇子は、大人達の都合に振り回されることになったのである。
二人の皇子を巡る争いが激化したのは5年前のこと。
竜の住まう都市、レインボールインとの戦争の時に、斎王が珍しく戦争に参加した。そしてあろうことか、たった一人で地下に潜伏していたレインボードラゴンの最後の一頭を、密かに捕獲してきたのだ。
この功績は大きく、覇王を次期皇帝に推す貴族達は大いに慌てた。
今でこそ戦で連勝し、数えきれないほどの武勲を上げている覇王だが、その当時はまだ11歳の少年。
それでも知略と類いまれなる戦闘能力を有していた覇王ならば、戦果を上げることもできたかもしれない。
しかし戦に参加できるのは13歳以上というのが帝国で定められていた為、彼の参戦は認められなかった。
醜い貴族達の争いと異母弟との確執に嫌気が差したのか、母の病死をきっかけに、斎王は周囲の反対を押しきって首都から遠く離れた聖地の神殿に赴き、住み着くようにになった。
あるいは彼は皇子の位を捨てて、現世の柵から逃れたかったのかもしれない。
だが当然、宰相一族がそれを赦すはずもなく、勉学の為の長期滞在という形を取ることになった。
そして、5年の月日が流れた。
現宰相の娘である正妃の産んだ第一皇女と第一皇子「斎王」。
そして一番末にあたるのが、側室を母にもつ第二皇子「覇王」である。
もともと覇王の母は、東の辺境に小さな領土を構える子爵家の出身で、200人を超える世界王の妃の中でもかなり低い地位にいた。
しかし後宮の多くの女性が皇帝に出会えずにいた中、彼女は偶然にも皇帝の寵愛を受け、覇王を産んだ。
覇王はごく幼い頃からあらゆる分野に特化した皇子だった。
そこで宰相一族の長年に渡る天下を苦々しく思っていた一部の貴族達は、覇王を次の皇帝として担ぎ上げる準備を始め、察知した宰相側と水面下での争いを繰り広げることとなった。
こうしてまだ子供だった二人の皇子は、大人達の都合に振り回されることになったのである。
二人の皇子を巡る争いが激化したのは5年前のこと。
竜の住まう都市、レインボールインとの戦争の時に、斎王が珍しく戦争に参加した。そしてあろうことか、たった一人で地下に潜伏していたレインボードラゴンの最後の一頭を、密かに捕獲してきたのだ。
この功績は大きく、覇王を次期皇帝に推す貴族達は大いに慌てた。
今でこそ戦で連勝し、数えきれないほどの武勲を上げている覇王だが、その当時はまだ11歳の少年。
それでも知略と類いまれなる戦闘能力を有していた覇王ならば、戦果を上げることもできたかもしれない。
しかし戦に参加できるのは13歳以上というのが帝国で定められていた為、彼の参戦は認められなかった。
醜い貴族達の争いと異母弟との確執に嫌気が差したのか、母の病死をきっかけに、斎王は周囲の反対を押しきって首都から遠く離れた聖地の神殿に赴き、住み着くようにになった。
あるいは彼は皇子の位を捨てて、現世の柵から逃れたかったのかもしれない。
だが当然、宰相一族がそれを赦すはずもなく、勉学の為の長期滞在という形を取ることになった。
そして、5年の月日が流れた。