第6話

世界王の崩御から、約一月。

皇太子が決まったことを除いて、なんの説明も、今後の体制も、国民には発表されていない。
そもそも、皇太子がどちらの皇子かすらわからない状況だった。
民衆の間で不安の声が高まる一方、上層部ではついに玉座争いが表面化しつつあった。

世界王は遺言で長男である斎王を皇太子に推したが、遺言はあくまで遺言に過ぎない。
政治的な効力もなければ、いくらでも改ざんのしようがあった。

官僚の失脚が相次いだのも、丁度この時期である。
覇王派が斎王派の貴族のスキャンダルを暴けば、逆に暴かれることもある。

互いに保身の為、自分の推す皇子を皇帝にしようと躍起になっていた。


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