病院にて




ーガラガラガラー


｢夢生くーん
ってまだ起きてない、か。｣


そういって女性看護師が入ってきた


｢それにしても、本当にお人形さんみたい
､､､あ 仕事しなきゃ｣



ガチャガチャ



点滴を取り替えいていたとき


｢､､､ﾋｯｸ､｣


啜り泣く声がした


｢ん？､､､！どうしたの、どこか痛む？｣


夢生少年は静かに首を振った


｢うーん、そっかとりあえず 目が覚めて良かった
ちょっと待っててね、先生呼んでくるから｣


看護師は急いで部屋からでていった


少年は何が起きているのか理解出来ず、
ただただボーッと、涙をながしていた



ーバタバター



廊下から微かに話し声が聞こえる


｢痛みで泣いているわけではないみたいです。｣


さっきの看護師の声と


｢おそらく精神的に｢弱っているからですか｣だろうね。
､､､とりあえず様子を見てみよう。｣


男性の声は、先生と呼ばれていた人のものだろう。


｢はい、先生。｣



ーガラガラガラー



｢やあ、夢生くんこんばんは。
目が覚めたみたいだね。｣


先生がそう声をかけた時


｢ﾋｯｸ､､ぐすっ､､､！！ﾊｯ､､､ｳｯ、ﾊｧｯﾊｧ､､あぁ、ぁ､､､｣


｢まずい、喘息の発作だ。
､､､原因は私か、私は部屋の外にいるよ。
何かあったら言ってくれ｣


｢はい！｣



〜〜〜〜〜〜



｢落ち着いたら、そのまま寝ちゃいました。｣


｢そうか、あの喘息は私が入ってからでた。
ということは、｣


｢大人の男の人に対して体が拒絶。恐怖が体に
染み付いてしまっている、ということですか。｣


｢あ、あぁ 相変わらず君は私の話を遮るね｣


｢そんなこと今はどうでもいいんですよ、先生。｣


｢､､､はい。
まあおそらくそんなところだろうね。

あと少しで夕飯の時間か。
あの子の様子を見ながら持っていってあげて。｣


｢わかりました｣


看護師はそのまま病室に戻り、
先生は自分の持ち場に戻った。



〜病室〜



｢あれ、夢生くん起きてたんだね。｣


夢生少年は看護師の後ろをじっと見つめた。


｢あぁ、先生は戻ったよ。
だから大丈夫、心配しないで？｣


看護師は笑って言った


｢あぁ、そうだ夢生くんここは病院なの。
これから少しの間ここで生活するからねー

そうね、ここには君と歳の近い子もいるから
良かったら仲良くしてあげてね。｣


夢生少年はボーッと下を向いていた


まるで心のない人形のようだ


｢､､､そろそろ夜ご飯の時間ね。夢生くんのご飯
持ってくるからちょっと待っててね。｣



〜〜〜〜〜〜



看護師がトレーに夕飯を乗せて戻ってきた


｢はい、これが今日の夜ご飯ね。食べれそう？｣



ｶﾀﾝｯ



夢生少年の目の前にトレーを置く


食べようとして手を伸ばした、が


｢､､､！！ｳｯ、オエッ､､､ゲホッｹﾞﾎｯ、｣


｢ごめんごめんね、匂い嗅ぐのもダメだったね。
無理させてごめんねー､､､。


夢生くん、背中さするよー？｣


そういった看護師は


｢大丈夫、大丈夫だからねー
ゆっくり慣れていこうねー。｣


優しく優しく背中を撫でた



〜〜〜〜〜〜



｢どう、落ち着いた？｣


夢生少年はゆっくりと少し頷いた


｢！そう、良かった。

あ、そういえば私自己紹介するの忘れてたね。

私の名前は 橘（たちばな） 菜々瀬（ななせ） 年齢はー、っていいか！
夢生くん担当の看護師です。よろしくね。｣


夢生少年はまた俯いていた


｢あれ、もしかして寝てる､､､？今日はいろんな
ことがあったもんね、無理させちゃったか。
今日はおやすみ、またあしたね。｣


橘は少し満足そうに微笑んで病室を後にした