［自分はいつ死ねるのだろう］

少年は無意識にそう呟いていた。

母親が逃げてから､､､

いや、少年は出張に行くと言った母を信じていた。

そして犯され続け2ヶ月程たったある日の事だった、

暗闇の外から声が聞こえたのだ。

父親だった男の声と共に聞こえてきたのは女の声、

あぁ、やっと母が帰ってきたのだ。

少年はとても嬉しくなった。

だが何故か、

リビングではｶﾞｼｬﾝと何かが倒れるような音がした。

男は叫び声をあげた後、静かになった。

否、静かになりすぎた。

そして静寂のなか闇に光が差し込んだ。

とても、眩しかった。

開かれた先には少年が帰りを待ち望んだ母がいた。

真っ赤な水玉模様の服を着て、

あぁ、そうか母は､､､

あのオトコを殺したンダ。

女は少年に近づき、少年を抱きしめた。

そして、

［ごめんね］

そういって静かに涙を流した。

遠くの方からパトカーのサイレンの音が聞こえた。

少年は動けなかった。

近づくサイレンの音を背に母は

［貴方は幸せになるのよ､､､夢生］

そう言い残して消えていった。

部屋にあるのは、

胸元に深く包丁が刺さった酒の匂いがする

父の姿と、

むせ返るような甘い、母の香水の匂いだけ､､､

ボクは吐き気を覚えた、

幸せだったはずの家族がこんな事になるなんて

全て忘れたい。これは夢だったのだと、

そう、思いたかった､､､。

玄関の扉が開く音と同時に、

ボクは再び暗闇に落ちていった。