このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第一章

ぐるりと世界が回った、ような体感を覚えすぐ。足がしっかりと地面を捉えた。
先程までいた世界が天国だとすれば、ここは間違いなく地獄。たとえ死んでも来たくないと思ってしまうような場所だ。住んでいる人、いや人じゃない、生き物には申し訳ないとは思うが。それは神が決めたことだから仕方がない。住むべきところに住むべきで、他人の、また違った、人じゃない、まあとにかく誰がどこに住もうと勝手なわけで、自分がとやかく言うことではないのだ。分かってはいる。

「魔界は少し肌寒いな。」

と、思ってしまっても、それは世界が違うのだから仕方がない。
魔界にだって生き物はいる。例えば、魔王とか。

「魔王...。」

呟いてみたところで、誰かに見られているようなあまり気分の良くない感覚がして、きゅっと口を結んだ。
邪悪の化身、この世の悪、我ら人間を滅ぼさんと暗躍している、魔王。城の人間が言っていた言葉。

そして、救世主、光の騎士、この世を救う光、勇者。これも城の人間が言っていた言葉。勇者ミハル、それは自分のこと。世界を、救うのだ。
1/2ページ
スキ