戦!セバ セバB


「ふあぁ…。」
と、思わずオレは欠伸をかみ殺した。
いくら休憩時間、休憩室だからといっても上司の前で大きな欠伸など出来ないだろう。

「どうしたB、寝不足か?」
でも結局ばれてしまったらしくセバスチャンは書類から顔を上げて向かいに座るオレを覗き込む。

「い、いえ。温かいし今日みたいに屋敷が静かだと、気が緩んでしまうみたいで…すいません。」
春だから、なんて言い訳にしかならないけど。
そんな心配そうにされちゃ、正直に白状しない訳にもいかなくて。

「まあ、分からなくもないがな。」
セバスチャンはふと目を細めて笑った。
「お前はいつも周りに気を配ってくれているし、休憩時間くらいゆっくりしていろ。」
そうして頭をそっと撫でられた。

…ああこの人の、こんな風に穏やかなところとか好きだなあ。
自覚してしまえばもう、良いところも悪いところさえ惹かれる要素にしかならなくて(セバスチャンに悪いところなんてないけど。)

「…どうした?何なら寝ても良いぞ。」
「それは、遠慮しておきます。」
だってせっかくこんな静かで、二人きりで。
寝てしまうなんてもったいないし。
…それに寝られる気もしない、色々な意味で。

ドオオォン!
突然静かな空間は、爆音と悲鳴によって終わりを告げた。

「チッ…今回はヘイヂか旦那様か。」
セバスチャンが仕方なさそうに腰を上げたから、オレも立ち上がる。
「手伝います。」
「…良いのか?」
「はい。」

だってこんな日は今日だけじゃないから。
きっとこの先も、温かくて穏やかな春は何度だってやってくる。
1/3ページ
スキ