戦!セバ ユゼB
「何してるの、B君。」
庭でぼうっと空を眺めていたらユーゼフ様が近づいてきた。
「あ、こんにちはユーゼフ様。」
「ああこんにちは。それで?」
「うわっ…?!」
突然、頬を両手で包み込まれる。
でもそれはとても優しくて暖かかった。
ユーゼフ様はオレの顔をのぞき込んで言う。
「こんな天気の中、体を冷やしてまで何してるんだい。」
ユーゼフ様は心配そうな表情を浮かべていて、何だか申し訳ない気分になったけど。
…多分、もう少しだ。
ふと、ユーゼフ様から視線を空に移す。
ユーゼフ様もそれに気づいて空を仰ぎ見た。
「ああ、今にも雪が降りそうだねえ。」
「そうですね、それを待っているんですよ。」
「雪を、かい?」
「聞いたことありませんか?初雪の最初の一粒に触れると願いが叶うそうなんです。」
それを聞いたユーゼフ様はくすくすと笑いだしてしまった。
…まあ、何となく予想出来た反応だけど。
やがて笑いをおさめたユーゼフ様はにっこりと微笑んで。
「願い事したいのなら、僕に言えば良いだろう?B君。」
…それって寿命と引き換えのやつですか?
ロマンを求めてる訳じゃないけど、それはあまりにも…。
「そうじゃなくて。」
「え?」
あれ?考えてたことばっちり顔に出てたか?
ユーゼフ様はまた、くすくすと笑った。
「本人にお願いした方が早いんじゃないのかな?」
「…っ、ユーゼフ様!」
本当もう、この人は!
何でオレの考えが分かってしまうんだろう。
悔しい。
けど、それでもオレは。
「あ、B君。雪が…。」
ユーゼフ様の言葉に顔を上げると、白い結晶がふわりと落ちてきた。
慌てて手を伸ばし、それを受け止める。
「…ユーゼフ様と…ずっと一緒に、いられますように!」
恥ずかしかったけど、本人に向かって叫ぶ。
ユーゼフ様は笑みを深めて、オレの手を握った。
「君が望むならいつまででも。」