その他


「仁科あああ!」
成坂さん家でいつものようにアニメを見ていたら、いつものように成坂さんの声が遮った。
俺は画面を止めて仕方なく振り返る、無視をしたら面倒だから。
でも何を言われるのかは分かりきっているんだけど。
「いい加減、このアニメグッズを片付けろ!」
成坂さんの指差す先には、俺が成坂さんに買ってもらった美少女キャラのグッズたち。
買ってもらっては全部を成坂さんの部屋に置いているから、今はもう見渡す限り彼女たちで埋まっている。

「…分かってないなあ。」
どうして俺がこうも頻繁に成坂さん家に上がり込んでいるのか。
わざわざ欲しかったアニメグッズを成坂さん家に飾っているのか。
二次元と三次元は両立しないと言い続けるのだって、理由は一つだけなのに。
「何か言ったか?」
「いいえ別に。後で片付けますよ。」
「ってお前はいつも口だけだよな…。」
そりゃあそうだ。
このグッズが広がる限り成坂さんは家に女なんか連れ込めないだろ?
グッズがなくなっても俺がいつだって成坂さんの家に上がり込んでいたら。
…他の人間にあなたを独占させないためなら、何だってしてやる。

「そのアニメ見たら片づけろよ!」
だけど成坂さん。
成坂さんのその態度も悪いんですよ。
うるさく言うくせに、自分でグッズを片付けたり捨てたりしないし(それどころか動かさないように気を遣ってるみたいだし)
こんな入り浸る俺を追い出すこともないから。
その優しさに甘えて、つけこんで。
俺はどんどんあなたから離れられなくなるんだ。
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