その他


「ここが神殿か…。」
あえて呟いてみれば、やっと俺の存在に気がついてピッコロはこちらを向いた。
「貴様、17号…!なぜこんなところにいるんだ!」
「まあ待てよ。戦うつもりはない。」
戦闘態勢に入りかけている奴にのんびりと言ってやる。
第一戦うつもりがあったら、気配のない俺ならいくらでもふいをついて先制攻撃が出来たはずだと賢いピッコロはすぐに気づいたのか、少しして構えを解いた。
「それで、何の目的でここに来た?」
さっきと同じ質問だな。
まあ、確かにいきなり俺が現れたら驚くか。

セルとかいう化け物は倒され、俺は生き返ったらしいと気づいた。
でも俺には生きる目的がなくなってしまったんだ。
存在する意味さえも。
「孫悟空はもう死んだんだろ?」
「…ああ。」
「18号を探したら、変なチビと一緒にいたよ。そいつがここを教えてくれた。」
人造人間の俺や18号を普通に受け入れる本当におかしな人間だったな。
…行く当てもすることもないから、言われた通りここへ来てみた。
「クリリンが何を言ったか知らんが、お前と仲良くする気はない。」
「そうか、なら孫悟空のかわりに孫悟飯でも倒しに行くか。」
「待て。」
…これも教わった通り。
こう言えば、ピッコロは逆らえないと聞いたがここまで簡単だとはな。

「お前も、ドクターゲロの被害者か…。」
ピッコロは大きなため息をついて、改めて俺を見た。
その瞳には敵意はない。
「何かやりたいことでも見つかるまで、いたいならいれば良い。」
その言葉は人ではない自分が受け入れられたようで、なぜか嬉しかった。
「そうか。なら手始めにピッコロ、お前を倒そう。」
「ふん…貴様に倒されるほど俺は弱くないぞ。」
自分がこれから生きていく意味なんて、まだ見つけられないけれど。
ここで、それを見つけたいと思った。
3/24ページ
スキ