花柳/B
『俺たち、あの世でも一緒にいられるかな。』
ある日ぽつりと野村は言った。
『何だ突然。』
『だってさ。せっかく相馬と親友になれたし今がすごく楽しいから、いきなり一人になったら寂しいじゃん。』
珍しく憂いを帯びたその表情に思わず笑いがもれた。
『何だよ!相馬は俺と離れても平気なのか?』
――馬鹿だな、お前は。
俺だって平気なわけがないだろう。
お前に出会ってから、いつも振り回されたし隣で騒がしくされた。
一人でいたころのことなど忘れるくらい、野村と共に過ごしてきたんだ。
いつも一緒だったから、思い込んでしまった。
お前とは共に生き共に果てるのだと、そんな保証はどこにもないというのに俺は。
野村が隣にいなくなるなんて想像すら出来なかったんだ。