花柳/B
相馬の進む道が俺の進む道だ、と野村は言った。
「…もしそれで、俺が破滅の道を選んだとしてもお前はついてくるのか?」
俺に自分の運命を委ねようだなんていい加減なのか、それだけ俺を信頼しているのかは知らないけれど。
野村は首を傾げて言う。
「何言ってんだ。相馬がそんな選択するわけないだろ。」
「たとえ話としてだ。」
「たとえか。うーん、そうだなあ。」
…けれどいつか訪れる未来に、全くありえないとも言えない。
自分の認めた主がその道を行くというのなら、俺も共に破滅へと向かうだろうから。
しばらく答えを悩んでいた野村はふと俺に向き直った。
「それがもし命を無駄にするような破滅だったら、お前を止めるよ。まあ俺が相馬を諭すなんて無理だと思うけどさ。」
「だろうな。」
「相馬って頑固だもんなー。…だからきっと、俺は一緒に破滅しちゃうんじゃないかな。」
やけにあっさりと、野村は結論を出した。
良いのかそんなで、と呆れてしまったが口に出すのは止めた。
俺も頑固だが、野村も同じくらい頑固者だと思う。
自分の発言を撤回なんてしないだろうし、だからこそ野村の言葉は全て真実なのだ。
この男は本気で俺と運命を共にするつもり、なのだろう。
「まあでもさ、相馬は俺の命も預かってるんだって思えば無茶はしないだろ。」
「…。」
無邪気に笑う野村に返す言葉がない。
悔しいが。
その言葉は的を射ていた。