戦!セバ ユゼセバ


例え許されない気持ちだとしても。
君が愛しい。


「やあ、おはようセバスチャン。コーヒー一杯貰えるかな。」
最近の朝の日課、デーデマン家の休憩室でコーヒーを飲むこと。
…というよりは、セバスチャンの顔を見る事、かな。
「…ユーゼフ様、なぜわざわざうちに来て飲む必要が?」
セバスチャンは嫌そうな顔で文句を言いながらも、しぶしぶコーヒーを注いでくれる。
その様子を眺めて笑みを浮かべた。

「何かおかしいですか。」
「いいや、思い出し笑いだよ。コーヒーありがとう。」
何だか腑に落ちない表情を浮かべる彼からカップを受け取り口を付けた。

そう、思い出しただけ。

かつての君を。
かつて出会ってきた、君であった人物を。
姿かたちが変わろうと、やっぱり本質は変わらないのだろう。
もうどれほど繰り返しているかしれない。
けれど、何度でも出会おう。
例え君が僕を見てくれることがなくとも、何度でも君を愛するだろう。
それが、罪なのだとしても。



遙か昔に僕らにかけられてしまった呪い。
君は覚えていないだろうけれども。
『僕の存在を忘れる』
…それこそが君への呪いだから。

そして、魂に刻まれるはずのそれを失った君が僕を愛する事は決してないのだ。


それでも。
それが僕らに課せられた罰だとしても。
君の傍にいられなくなる以上に辛いことなどないから。

「…愛しているよ。」
「ご冗談を。」
もう二度と愛の言葉を交わしあう事が出来ないのだとしても。

こんな罪も罰も笑って受け入れてやる。


結局、君に恋したのが罪で、堕ちるのが罰だっただけなんだろう。
(けれどそれで傍にいられるのなら、罰さえ苦にはならない)
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