S◇ 宮白
秋市たちが宮と夜明様をつれて僕の元にやってきた。
のは、いいんだけど。
「どっちが宮でしょう!」
とか突然ふざけたことを言い出す。
「…は?」
「当ててみて白琵!」
「オレたち当たらなかったけどさー。」
楽しそうな秋市たちに比べて遊びに付き合わされる二人は呆れたような表情だ。
というかどっちかは宮なんだから、わざと夜明様の表情を真似ているだけなんだろうけど。
よく見たら服装もだいたい同じで夜明様に合わせている。
双子だから並んだら全く同じ顔だし、これはどちらが宮で夜明様かなんて分からないだろう。
…普通、なら。
とても残念なことだけど、僕にはどちらが宮なのか分かってしまった。
本当に不本意だけど。
僅かな表情の差とか、眼差しとか。
夜明様とは雰囲気が違うんだ。
あーあ、どっちが夜明様か、じゃなくてどっちが宮かを分かってしまう自分がなんか嫌だ。
…とりあえず。
当てても外しても、何かしらからかわれそうな気がするんだけど。
僕は言い当てたらいいのか、それとも外したほうがいいのか。
そこが一番の悩みどころだった。