S◇ その他
「…あの、私の顔に何かついていますか閧志さん。」
「ああ、いやすまない。つい。」
「つい?」
「悪気はないんだが。」
「ええそれは…。」
「ただあんた、とても綺麗だから。」
「え?」
「だからあんたが。」
「いえあの、繰り返さなくて良いです。」
「そうか。」
…これが千艸だったら絶対、意図的だろうけれど。
この人これが素なんだろうなあ。
「不快にさせていたならすまない。これからは気をつけよう。」
「…良いですよ、別に。」
不快だなんて思ったりはしていない。
それどころか。
今までずっと重華の男、ということで色んな視線を向けられてきた。
そのどれとも違う、ただ私本人を見てくれる彼の眼差しは心地よくさえあるのだから。