S◇ 宮白
俺の言葉にいちいち反応する姿が面白くて可愛くて。
いじめすぎたかもしれないという自覚はあった。
けれど。
「夜明さまはそんなこと言ったりしないんだからな!」
…さすがにこれには参ってしまった。
しかも僕ちゃんはそのあとしまった、というような表情を浮かべて。
何か言い訳でもしようとしたらしいが、その口からは何も発せられることはなく。
そのまますごい勢いで走り去ってしまった。
…言い訳を、言わせてやることも出来ないくらい俺は余裕がなかったのだろう。
存在さえろくに覚えていない、双子の兄弟。
今の暮らしに不満はないが、もしかしたら立場は逆だったかもしれない。
そうしたら僕ちゃんは俺をこんなに苦手にはならなかっただろうか。
なんて。
…同じ顔の兄弟に嫉妬するほど、俺は。