戦!セバ ユゼデビ


いつもと変わらない笑顔を浮かべながら俺たちの分の夕食を並べるデイビッドと、テーブルの上を見比べる。
旦那様の夕食時にも思ったがどうやら間違いないようだ。
「デイビッド。」
「何だ?ハニー。」
皿を両手に持ったデイビッドが器用に振り返る。
「今日もまたユーゼフ様は厨房に入り浸っていたな?」
あの人は、俺が旦那様を見てて手が離せないときに限って屋敷を好き勝手歩き回っているからたちが悪い。
今は専ら厨房がお気に入りらしいが。

「いやまあ、来てたけど入り浸るってほどではなかったぞう?」
と、デイビッドは言うがこの件に関しては全く信用出来ない。
なぜなら、奇特としか言い様がないがデイビッドはユーゼフ様と話をするのが好きらしいのだ。
そしてそれはユーゼフ様もまた然りで、デイビッドが仕込みの最中は厨房に居座り続ける。
さすがに本格的に調理を開始しようとすれば席を立つようだが、つまり仕込みが続けばユーゼフ様も居続けるということで。
デイビッドは本来の夕食のメニューよりずっと手の込んだ仕込みをするのだ。

「それにしてもどうしてハニーはいつも、会ってないのにお向かいサンが来たって分かるんだ?」
…とりあえず、目の前で笑うコックがそれを全くの無意識で行っていることが、問題なのか救いなのか。

手の込んだディナー
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