戦!セバ その他
絶体絶命の窮地だ。
色々あって、私は今同業者たちに囲まれている。
さっきは銃弾が頬を掠めていった。
これはさすがに、もう駄目だろうな。
一斉に銃を構えられる。
そっと目を閉じた。
しかし予想していた音も衝撃もやってこない。
目を開けてみると、そこにいる全員が恐ろしいものでも見たかのように顔を強ばらせている。
直後、絶叫が響き渡った。
…それは今まで色んなものを見てきた私から見ても、恐ろしい光景だった。
全員が見る見るうちに老いていく、なんて。
「賑やかだねえ。」
悲鳴が響く中、良く通る声がした。
「ユー…ゼフ?」
その姿を認めたとき、この光景がユーゼフの仕業なのだとなぜかぼんやり理解した。
彼はこの阿鼻叫喚をまるで気にもせず優雅に歩く。
私の横を通り過ぎるときにはぽんと優しく頭を撫でて、そのまま今回の首謀者の元へまっすぐ向かう。
「た、助けてくれ…!金ならやる、いくらほしい!」
老いてしまってもう誰だか判断もつかなくなった男は、そうユーゼフに命乞いをした。
「君だけじゃ到底足りないね。ここにいる全員でも足りないくらいだけど、仕方ない許してあげよう。」
「な…何を言って…!」
「お金はいらない。僕がほしいのは寿命だから。」
だから、ここにいる人間は私以外が老いていくのか。
もうほとんどは寿命を取られすぎたのか倒れて動かないけれど。
――それはまさに地獄絵図。
「僕のお気に入りを嵌めて亡き者にしようとした罪は重いよ。」
無音になった空間でユーゼフは楽しげに呟いた。
背筋も凍る、恐ろしく冷たい笑みをたたえて。
通貨は寿命