戦!セバ ユゼB
お使いを終えて厨房に行くとそこにはデイビッドさんと、ユーゼフ様がいた。
それを見てそういえばこの二人結構一緒にいるよな、とふと思う。
「お、B君。」
入口でそんなことを考えて立ち止まっていたら見つけられてしまったので、厨房内に足を踏み入れる。
「お使いかい?ご苦労さま。」
ユーゼフ様が優しく微笑んでくれた。
朝に会ったばかりなのに、数時間ぶりに会っただけで驚くほど喜んでいる自分がいた。
「ところで、さっきは立ち止まってどうしたんだい?」
笑顔のまま問いかけられてしまった。
「えと、いえ…お二人は仲良いなあと。」
「それって、やきもちか?」
ははは、とデイビッドさんは陽気に笑った。
「そんな心配は無用だぞう!俺にはハニーがいるし。それにお向かいサンよりB君の方が好み…。」
デイビッドさんから自然に伸ばされた腕は、オレの目の前で宙をきる。
…いや実際にはオレの体がユーゼフ様に抱き寄せられたせいだ。
「人のものに触らないでくれるかな?」
うわ、どうしよう…ユーゼフ様に触れられている部分が熱い。
体が固まって動けなくなる。
「スキンシップだぞう、心狭いなお向かいサン。」
「何とでも。もう二度と君にB君を触れさせないから。」
「すごい独占欲だな…。」
オレを挟んで二人の会話は続いていく。
「まあねえ。出来るなら誰にも見せないで自分の部屋に閉じこめておきたいくらいだよ。」
それを聞いたデイビッドさんがうわあ、という表情を浮かべた。
対してユーゼフ様は、B君の望まないことはする気はないけどと反論している。
…正直オレはそれも悪くないとすら思えてしまう。
でもそれ以上に、オレはこの光ある世界で生きるユーゼフ様が好きだから、きっとこの言葉を口にすることはないだろうけれど。
「お向かいサン、そこまでいくと独占っていうかもう束縛だぞ。」
呆れたように呟くデイビッドさん。
束縛、か。
オレはもうとっくにユーゼフ様に絡め取られている気がする。
最初は瘴気に対する恐怖だったけど、ユーゼフ様を恐れて寝ても覚めてもユーゼフ様のことを考えてた。
今は恐怖はないけど、やっぱり気づくとユーゼフ様のことばかり思ってしまうのだから。
「オレの心はもうずっと、ユーゼフ様に束縛されていますよ。」
ぽろりともれた本音に、ユーゼフ様は見とれるような笑顔を浮かべてぎゅうっと抱きしめてきた。
その先でデイビッドさんがごちそうさま、と言うのが聞こえた。