戦!セバ その他



「はい。」
厨房に戻ると、クラリスさんが笑顔で皿を差し出してきた。
皿の上には可愛らしいケーキが一つ。
ええと…つい今しがた坊ちゃまにおやつをお出ししたばかりだったような。
僅かに首を傾げるとクラリスさんは笑みを深めた。
「これは君にだよ、セバスチャン。」
「え?」
「良く頑張ってるご褒美。あとここまで続いたお祝いも兼ねてね?」
ケーキは小さいけれど丸い。
クラリスさんがわざわざ俺のためだけに作ってくれたということだ。

「…ありがとうございます。」
早速一口食べてみる。
「おいしい…!」
クラリスさんの料理は本当にどれもおいしいものばかり。
このケーキも甘すぎず優しい味がする。
「良かった。君はおいしそうに食べてくれるから、作る甲斐があるよ。」
…ああやっぱりこの人って。
「…ん?どうかした?」
「俺、クラリスさんみたいな大人になりたいなあと思って。」
優しげな雰囲気やこういうさり気ない気遣いは本当に尊敬する。
クラリスさんは数回瞳を瞬かせて困ったように言う。
「自分で言うのもあれだけど私はあんまりまともな人間じゃないよ?」
「そんなことないです。」
過去がどうであれ、その過去も含めて俺はこの人に憧れているのだ。

「…ありがとう。セバスチャン。」
ふと笑った直後、クラリスさんの瞳がぎらりと鋭く光る。
いつの間にか手には銃を握っていて、天井に向けて放たれた。
「また現れたかヘイヂ!」
人が変わったようにヘイヂと戦い始める姿を眺めながら、俺は思う。
こういうところも格好良いよな、と。
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