戦!セバ セバB
「どこに行く、B。」
昼休み。
早々に昼食を済ませたオレは屋敷を抜け出そうとしていたところをセバスチャンに見つかってしまった。
いやまあ、休み時間なんだからどこに行こうが何をしようが自由なんだけど。
セバスチャンの声に怒気が含まれていて、思わず体がこわばった。
「ええと、セバスチャン。」
「どこに行くのかと聞いているんだ。」
恐る恐る振り向けば、想像通りの怖い顔。
何でこんなに怒っているのかオレには分からないけど。
だからって、何をしに外に出かけているのかなんて素直に言えるはずはない。
最近、何度も。
…セバスチャンに喜んでもらえるプレゼントを探し回っている、なんて。
言いたくなかったのだけど。
鋭い視線とその威圧感に負けて、オレは白状するしかなかった。
オレの言葉にセバスチャンは驚いたように目を見開いた。
…珍しいものを見たな。
この人がこんなに無防備に驚きを表すのだから。
「…あなたを驚かせたかったんですけどね。」
「いや、十分驚いた。」
ああまあ、そうみたいですけど。
「俺はてっきり、誰かと逢瀬でも楽しんでるのかと。」
「…は?」
「お前が紛らわしく、こそこそ出掛けるからだ。」
予想外の言葉に、今度はオレが驚いてしまう。
だって、その言い方は。
まるで。
…セバスチャンがオレに怒っていた理由が分かってしまった。
「何を笑っている。」
知らず浮かんでしまった笑顔をつっこまれたけど、正直に話したところで否定されるだろうから、これは胸にしまっておこう。
「いいえ。…それより、一緒にプレゼントを選びに行きませんか。」
驚かせるのは、もう無理だけど。
あなたの喜んだ顔を見たいから。
こんなにもあなたのことで頭がいっぱいなのだと、伝えたいから。