戦!セバ デビB


「ここにも増えてる…。」
屋敷の廊下を歩いていると最近目につくカボチャたち。
ハロウィンが近づいているせいなのだろうけど、窓辺だったりツボの影に隠れていたり…。
日に日に増えていく様は何だか不思議だ。

「あ、デイビッドさん。」
ふと視線を廊下の先にやると、デイビッドさんが新たなカボチャを窓辺に飾っているところだった。
「おー、B君。」
オレが近づくと、こちらを見てにっこりと笑う。
くりぬかれたカボチャも楽しそうに笑っている。
やっぱり不思議な光景だと思う。

「あの、どうしてこんなにたくさん飾っているんですか?」
おかげでここのところ毎日カボチャ料理だし。
いや、別にそれは全然メニューもかぶらなくてすごくおいしいから良いんだけど。
何かそこまでする理由でもあるのかな、って気になった。
「これはな、厄除けなんだぞう!」
デイビッドさんは優しい眼差しでそう言う。
「厄って…。」
「お向かいサンの瘴気。」
「…ああ。」
なるほど。
「気分だけでもさ、ちょっとは変わるだろ?」

言われて、もう一度カボチャを見る。
くりぬかれたその笑顔が何だか可愛く見えた。
「そうですね。」
それは全てオレのため。
カボチャの数が、デイビッドさんの優しさの表れなのだと思うと、くすぐったい。
こんなに気持ちがこもったカボチャに囲まれて、デイビッドさんの料理を食べたら。
ユーゼフ様の瘴気だって本当に平気になるんじゃないか、と思えてしまった。
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