戦!セバ ユゼデビ


あんなに明るく元気だった声が、弱くなっていく。
しなやかでたくましかった体はどんどん細くなってしまった。
彼が病に侵されていく姿を、なぜ僕はただ見ているしか出来ないのだろう。

「ねえ、戻りたくないかい。あのころのように。」
「お向かいサン…。」
死へと向かう君を見ている、僕が辛いだけなんだと分かっている。
それでも言わずにはいられない。
「君が頷けば、戻してあげられるんだよ。」
だけど君は。
決して僕の望む言葉はくれないんだね。
「…ごめんな、お向かいサン。」
そしてただ、微笑むのだ。

愛する人の死を看取る。
一人、遺される。
それがどんなに残酷か…。
「ごめんな。」
きっと、理解した上で君は謝罪の言葉を紡ぎ続ける。
これ以上の残酷を、僕は知らない。
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