戦!セバ デビB
「デイビッドさん…。」
「んー?何だB君。」
休憩時間、オレは困り果てて隣に座るデイビッドさんに言った。
「あの…少し離れてくれません?」
…今の状況はこうだ。
オレが休憩室でコーヒーを飲んでいたらデイビッドさんがやって来て。
何だか笑顔でオレの隣の椅子を引き、すぐ隣に座ったと思ったら…突然ぎゅっと抱きつかれたのだ。
横から抱きつかれては腕が動かせず、コーヒーも飲めない。
…なんて、これは単なる言い訳だけど。
「んー、嫌だ。」
デイビッドさんは即答してオレの首筋に顔をうずめた。
「ちょっ、デイビッドさん…!」
これは密着しすぎじゃないか?!
心臓のうるさい音とか上がっていく体温とか、これじゃあばれてしまう。
オレは何とかデイビッドさんの腕から逃れようと体をよじるのだが。
それさえ封じるように強く抱きすくめられて。
「俺もB君のオーラで癒やしてもらわないとダメみたいなんだよなあ。」
「何を言って…。」
オレからオーラなど出ていないだろう。
デイビッドさんの癒しオーラじゃあるまいし。
思わず抵抗を止めたオレの耳元で、デイビッドさんはささやいた。
「だからな?B君の傍にいたいって事さ。」
顔なんて見なくても分かる。
声だけできっと、今デイビッドさんは嬉しそうに笑っているんだろうなって。
分かっているからこれ以上、抵抗なんて出来るはずなくて。
心臓の音も、上がっていく体温もどうせデイビッドさんにはばれているから。
「オレだって…いたいですよ、傍に。」
だからせめて、短い休憩時間だけでもあなたを癒やす存在となろう。
◇◇◇
「いや、てゆーかさ。ノロケはよそでやって欲しいなあ。」
「あらいいじゃないの。デイビッドさんから抱きつくなんて、貴重なショットよ!」
テーブルの向かい側では同じく休憩中のAとツネッテが、コーヒーを飲みながら見て見ぬ振りを決め込んでいるのであった(ツネッテは密かにカメラも構えていた。)