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ぬくもりに思う

 俺の膝の上に小さな頭を乗せて気持ちよさそうに微睡んでいる。その主様を起こしてしまわないように読み聞かせをしていた本をそっと閉じた。
 健やかに上下するピンクのブランケット。静かに流れる、少し擦り切れたレコード。窓に川を作っている雨足。どれを取っても眠くなる要因しかない。

「フェネス……?」
 呼ばれて目が覚めた。いけない、主様の前だというのに居眠りをしていたらしい。
「すみません、主様。何でしょうか?」
 モノクルをかけ直して主様に目を向ければ、起き上がって俺の膝にちょこんと腰を下ろし、その上からブランケットを広げた。
「こっちのほうがね、わたしもフェネスもあったかくていいの」
 俺に背中を預けて機嫌良くおっしゃるから、俺は小さな幸せを噛み締める。

 主様が成長されてパートナーを連れてきたら、今の俺は正直言って祝福できる気がしないな。
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