あるじちゃん、おてつだいをする
主様は4歳。手伝いをするのが楽しいらしい。いろんな執事の手伝いをして回っている。今日はコンサバトリーにいるベリアンさんのところに向かったみたいだ。
「べーりあん!」
「あら、主様。いかがなさいましたか?」
「あるじ、べりあんのおてつだいしてあげる!」
「主様が、私の? そうですね……何をお手伝いしていただきましょうか……ああ、そうです!」
ベリアンさんは大袈裟に寄せていた眉根を開いた。
「今度、屋敷のみなさんでアフタヌーンティーを楽しもうと思っているのですが、そのときのお茶選びを手伝っていただけないでしょうか?」
……アフタヌーンティー、だと? 甘い菓子ばかりでなければいいのだが……。
主様はというと、お茶と聞いて顔色をさらに明るくした。
「あるじ、おちゃだいすき! おてつだいがんばるね!!」
「ふふっ。それでは主様、こちらに掛けてお待ちいただけますか? ティーワゴンを持って参ります」
椅子を引いて主様に座ってもらったベリアンさんは、そのままどこかへ行ってしまった。
……しかし、ほどなくしてティーワゴンを押しながら戻ってきた。
手際よく主様の目の前にサンドイッチやスコーン、マドレーヌなどを並べていく。主様はそれらをキラキラした瞳で見つめている。
じゅるり、と音がした。
「おいしそー……」
口の端に涎をつけた主様。その気持ち、よく分かるぞ。俺も目の前に肉があればそうなるからな。
「それでは、こちらをつまみながら紅茶を選んでいきましょう」
主様は手を洗ってくると言い残していなくなってしまった。ベリアンさんはワゴンでお茶を淹れて扇子を取り出し、ティーカップをあおいで冷ましている。
「べりあーん、て、あらってきた!」
「はい、主様。ありがとうございます。
それでは……こちらはダージリンのファーストフラッシュです。お砂糖は入れていますからね」
「ありがとう」
両手でカップを包み込むと主様はコクコクと喉を鳴らした。
「ぷはー。おいしい!」
「それはよかったです。おかわりをお注ぎしますね。
それと、もっとお茶が美味しくなるお菓子の選び順をお伝えいたしますね」
ショートケーキに伸ばしかけた主様の手が止まった。
「あっさりとしたものから選ぶといいですよ」
「なんで?」
主様の疑問はもっともだ。
「最初に濃い味やとってもあまーいものを食べた後にあっさりしたものを食べると物足りなさを感じてしまうからです」
ベリアンさんを見上げて小首を傾げた主様は、でも、と何か言いたげだ。
「あるじのおなかちっちゃいから、そんなにいっぱいたべれない……」
主様はすっかりしょげている。
しかしそんな主様にベリアンさんは笑ってみせた。
「ええ。なので主様が大きくなるまでは、好きなものを好きなだけお召し上がりください」
「いいの!?」
「いいのですよ。主様、こちらの苺のショートケーキはいかがですか?真っ赤な苺が美味しそうですね」
そう言うとベリアンさんは主様の前にショートケーキと一緒にお茶のおかわりを置いた。
ケーキを頬張る主様の口元についたクリームを拭いながらベリアンさんは幸せそうに微笑むのだった。
「べーりあん!」
「あら、主様。いかがなさいましたか?」
「あるじ、べりあんのおてつだいしてあげる!」
「主様が、私の? そうですね……何をお手伝いしていただきましょうか……ああ、そうです!」
ベリアンさんは大袈裟に寄せていた眉根を開いた。
「今度、屋敷のみなさんでアフタヌーンティーを楽しもうと思っているのですが、そのときのお茶選びを手伝っていただけないでしょうか?」
……アフタヌーンティー、だと? 甘い菓子ばかりでなければいいのだが……。
主様はというと、お茶と聞いて顔色をさらに明るくした。
「あるじ、おちゃだいすき! おてつだいがんばるね!!」
「ふふっ。それでは主様、こちらに掛けてお待ちいただけますか? ティーワゴンを持って参ります」
椅子を引いて主様に座ってもらったベリアンさんは、そのままどこかへ行ってしまった。
……しかし、ほどなくしてティーワゴンを押しながら戻ってきた。
手際よく主様の目の前にサンドイッチやスコーン、マドレーヌなどを並べていく。主様はそれらをキラキラした瞳で見つめている。
じゅるり、と音がした。
「おいしそー……」
口の端に涎をつけた主様。その気持ち、よく分かるぞ。俺も目の前に肉があればそうなるからな。
「それでは、こちらをつまみながら紅茶を選んでいきましょう」
主様は手を洗ってくると言い残していなくなってしまった。ベリアンさんはワゴンでお茶を淹れて扇子を取り出し、ティーカップをあおいで冷ましている。
「べりあーん、て、あらってきた!」
「はい、主様。ありがとうございます。
それでは……こちらはダージリンのファーストフラッシュです。お砂糖は入れていますからね」
「ありがとう」
両手でカップを包み込むと主様はコクコクと喉を鳴らした。
「ぷはー。おいしい!」
「それはよかったです。おかわりをお注ぎしますね。
それと、もっとお茶が美味しくなるお菓子の選び順をお伝えいたしますね」
ショートケーキに伸ばしかけた主様の手が止まった。
「あっさりとしたものから選ぶといいですよ」
「なんで?」
主様の疑問はもっともだ。
「最初に濃い味やとってもあまーいものを食べた後にあっさりしたものを食べると物足りなさを感じてしまうからです」
ベリアンさんを見上げて小首を傾げた主様は、でも、と何か言いたげだ。
「あるじのおなかちっちゃいから、そんなにいっぱいたべれない……」
主様はすっかりしょげている。
しかしそんな主様にベリアンさんは笑ってみせた。
「ええ。なので主様が大きくなるまでは、好きなものを好きなだけお召し上がりください」
「いいの!?」
「いいのですよ。主様、こちらの苺のショートケーキはいかがですか?真っ赤な苺が美味しそうですね」
そう言うとベリアンさんは主様の前にショートケーキと一緒にお茶のおかわりを置いた。
ケーキを頬張る主様の口元についたクリームを拭いながらベリアンさんは幸せそうに微笑むのだった。
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