主様のこいびと 〜過去作再録集〜
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爽やかな風に頬を撫でられて夢からふわりと抜け出した。
「おはようございます、主様」
青髪の青年が窓を背にして微笑んでいる。毎朝恒例、彼の手による部屋の空気の入れ替えの儀だ。
「おはよう、ハウレス」
枕から頭を持ち上げて背伸びをひとつ。なんだか素敵な夢の中にいた気がする。幸福感に微笑めば、
「今日の体調も良さそうですね。では主様担当の執事が来る前に身支度を整えてください」
それでは、と頭を下げて出て行った。
屋敷で夜を過ごすようになった最初の頃はみんなしてあれやこれやと私の世話を焼きたがった。
「自分でできる」「いややらせてください」「やだってば」「でも……」
いやに食い下がってくる執事たちに私は居丈高に叫んだ。
「主様の言うことが聞けないの⁉︎」
そこまで言ってようやく、というか、しぶしぶ私のやりたいようにやらせてくれるようになった。
そういうわけで私は顔を洗い寝乱れた髪を整え、ネグリジェを脱いで部屋着に着替える。鏡を覗き込んで笑顔の最終チェック。
よし、今日の私も美人!
そこに、コンコンコン、とノックの音が転がってきた。担当執事の到着に間に合ったようだ。
「大丈夫よ、入って」
小机の椅子に腰を下ろして声をかければ、シルバーのトレイを片手にフェネスが扉をくぐってきた。
「おはようございます、主様」
にこりと笑う彼に「フェネス、おはよー」と私も笑みを返せば、さっと頬を紅潮させ言葉に詰まっている。
「おはようございます、主様」
青髪の青年が窓を背にして微笑んでいる。毎朝恒例、彼の手による部屋の空気の入れ替えの儀だ。
「おはよう、ハウレス」
枕から頭を持ち上げて背伸びをひとつ。なんだか素敵な夢の中にいた気がする。幸福感に微笑めば、
「今日の体調も良さそうですね。では主様担当の執事が来る前に身支度を整えてください」
それでは、と頭を下げて出て行った。
屋敷で夜を過ごすようになった最初の頃はみんなしてあれやこれやと私の世話を焼きたがった。
「自分でできる」「いややらせてください」「やだってば」「でも……」
いやに食い下がってくる執事たちに私は居丈高に叫んだ。
「主様の言うことが聞けないの⁉︎」
そこまで言ってようやく、というか、しぶしぶ私のやりたいようにやらせてくれるようになった。
そういうわけで私は顔を洗い寝乱れた髪を整え、ネグリジェを脱いで部屋着に着替える。鏡を覗き込んで笑顔の最終チェック。
よし、今日の私も美人!
そこに、コンコンコン、とノックの音が転がってきた。担当執事の到着に間に合ったようだ。
「大丈夫よ、入って」
小机の椅子に腰を下ろして声をかければ、シルバーのトレイを片手にフェネスが扉をくぐってきた。
「おはようございます、主様」
にこりと笑う彼に「フェネス、おはよー」と私も笑みを返せば、さっと頬を紅潮させ言葉に詰まっている。