主様のこいびと 〜過去作再録集〜
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フェネスが縮んだ。私の目の前で縮んだ。
ルカスは興味津々といった風にフェネスを診察したが、身体が小さくなったこと以外は特に問題はないらしい。
ハウレスも心配そうにしていたけれど、貴族のバレンタインパーティーの準備に追われている。だからあまりフェネスのことに関わっていられない。ラトはお留守番の予定だったけれど、これ以上何かトラブルがあってはよくないという理由からミヤジとフルーレに連れて行かれた。
そういうわけで屋敷に残ったのは私とフェネス、そしてベリアンの3人きり。
「あの、主様」
ベリアンが口を開いた。
「フェネスくんをこのまま担当執事に……というご希望ですが、今の彼では主様のお世話は難しいかと」
フルーレが完徹して作った、ビスクドールのペティート(約20センチ)サイズ用の魔導服。それに身を包んだフェネスがテーブルの上で項垂れる。その姿にキュンとしたけど当然口には出さない。小さくなってしまったことに一番ショックを受けているのはフェネス本人だ。うっかり私がかわいいだなんて口を開けばもっと傷つくだろう。
それは担当執事を外すということについてもそうだ。今までもフェネスは言ってきた。自分よりも優れていて頼りになる執事はたくさんいるのにどういうわけか担当の座に選ばれ続けている。それは喜びでもあるけれど、いつか外されてしまうことを恐れてもいると。もしもここで私が担当執事をチェンジしてしまえば可哀想なことこの上ない。だから——いや、それ以前にもう私の答えは当然決まっていた。
「そう、担当は変えない」
ベリアンとフェネスが同時に私を見る。
「……どうしてですか?」
フェネスが恐る恐るといった風情で聞いてきたので「当たり前じゃないの」と答えておいた。
「私、身の回りのことなら全部自分でできるもの」
すると再びフェネスは俯いた。
「そうですよね。俺なんかがお手伝いしなくても、主様は今までだってすべてご自分でなさってて……俺って本当に不甲斐ない執事です」
すんすんと鼻をすすっているフェネスだけど。
「そうじゃなくて! フェネスは今まで通り私の話し相手になってくれたり、時間が来たら起こしてくれたり寝かしつけてくれたりすればいいの!」
ルカスは興味津々といった風にフェネスを診察したが、身体が小さくなったこと以外は特に問題はないらしい。
ハウレスも心配そうにしていたけれど、貴族のバレンタインパーティーの準備に追われている。だからあまりフェネスのことに関わっていられない。ラトはお留守番の予定だったけれど、これ以上何かトラブルがあってはよくないという理由からミヤジとフルーレに連れて行かれた。
そういうわけで屋敷に残ったのは私とフェネス、そしてベリアンの3人きり。
「あの、主様」
ベリアンが口を開いた。
「フェネスくんをこのまま担当執事に……というご希望ですが、今の彼では主様のお世話は難しいかと」
フルーレが完徹して作った、ビスクドールのペティート(約20センチ)サイズ用の魔導服。それに身を包んだフェネスがテーブルの上で項垂れる。その姿にキュンとしたけど当然口には出さない。小さくなってしまったことに一番ショックを受けているのはフェネス本人だ。うっかり私がかわいいだなんて口を開けばもっと傷つくだろう。
それは担当執事を外すということについてもそうだ。今までもフェネスは言ってきた。自分よりも優れていて頼りになる執事はたくさんいるのにどういうわけか担当の座に選ばれ続けている。それは喜びでもあるけれど、いつか外されてしまうことを恐れてもいると。もしもここで私が担当執事をチェンジしてしまえば可哀想なことこの上ない。だから——いや、それ以前にもう私の答えは当然決まっていた。
「そう、担当は変えない」
ベリアンとフェネスが同時に私を見る。
「……どうしてですか?」
フェネスが恐る恐るといった風情で聞いてきたので「当たり前じゃないの」と答えておいた。
「私、身の回りのことなら全部自分でできるもの」
すると再びフェネスは俯いた。
「そうですよね。俺なんかがお手伝いしなくても、主様は今までだってすべてご自分でなさってて……俺って本当に不甲斐ない執事です」
すんすんと鼻をすすっているフェネスだけど。
「そうじゃなくて! フェネスは今まで通り私の話し相手になってくれたり、時間が来たら起こしてくれたり寝かしつけてくれたりすればいいの!」