上手く行かなくたっていい
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『いいですか、主様。上手くいかなくたっていいんです。もちろん上手くいった方がいいかとは思いますが、一番大事なのは楽しめるかどうかではありませんか』
貴族に招かれたパーティーで上手くワルツを踊れなかった主様に俺が言った言葉だ。
それは主様が11[#「11」は縦中横]歳だったときのこと。履き慣れないヒールで思いっきり俺の足を踏んでしまい、下手くそなパートナーでごめんなさいと謝られたときに咄嗟に口から出てきた。
俺の言葉を聞き、涙目を手の甲で拭いながらこくんと頷いた主様に俺はお願いした。
「もう一度、俺と踊っていただけませんか?」
あれから二年後。
「うう、俺はなんてダメな執事なんだ……」
今日も失敗をしてしまった。主様と出かけた際に起こったトラブルで大失敗をしてしまった。そういうわけで今は書庫でひとり反省会をしているところだ。
「わっ‼︎」
「うわっ⁉︎」
突然背後で大声を上げられ、俺は椅子から転げ落ちるところだった。振り向けば主様がいて、ニシシと笑っている。
「フェネス、昼間に私が街で転んで膝を擦りむいたことで落ち込んでるでしょ?」
「……本当にすみませんでした……」
俺が項垂れればそのまま両手で頬をベチッと挟まれた。
「確かに膝は痛いけど、それよりもフェネスが凹んでいる方が私の胸は痛い。それにフェネス、私に言った事があるでしょ? 大事なのは結果より過程だって。私はフェネスとふたりで久しぶりに街までお出かけできて嬉しかった。だからフェネスもそれを楽しんでくれてたらもっと嬉しい」
ああ、優しくお育ちになられたなぁ。
そのことも日記に書き留めておくことにしよう。
貴族に招かれたパーティーで上手くワルツを踊れなかった主様に俺が言った言葉だ。
それは主様が11[#「11」は縦中横]歳だったときのこと。履き慣れないヒールで思いっきり俺の足を踏んでしまい、下手くそなパートナーでごめんなさいと謝られたときに咄嗟に口から出てきた。
俺の言葉を聞き、涙目を手の甲で拭いながらこくんと頷いた主様に俺はお願いした。
「もう一度、俺と踊っていただけませんか?」
あれから二年後。
「うう、俺はなんてダメな執事なんだ……」
今日も失敗をしてしまった。主様と出かけた際に起こったトラブルで大失敗をしてしまった。そういうわけで今は書庫でひとり反省会をしているところだ。
「わっ‼︎」
「うわっ⁉︎」
突然背後で大声を上げられ、俺は椅子から転げ落ちるところだった。振り向けば主様がいて、ニシシと笑っている。
「フェネス、昼間に私が街で転んで膝を擦りむいたことで落ち込んでるでしょ?」
「……本当にすみませんでした……」
俺が項垂れればそのまま両手で頬をベチッと挟まれた。
「確かに膝は痛いけど、それよりもフェネスが凹んでいる方が私の胸は痛い。それにフェネス、私に言った事があるでしょ? 大事なのは結果より過程だって。私はフェネスとふたりで久しぶりに街までお出かけできて嬉しかった。だからフェネスもそれを楽しんでくれてたらもっと嬉しい」
ああ、優しくお育ちになられたなぁ。
そのことも日記に書き留めておくことにしよう。
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