ーーー私 の夢、希望、妄想です。
IWGP
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風呂から上がり、部屋に戻ると私子がソファの上で体育座りをしていた。
俺のパジャマをかぶっただけだから、太ももはむきだし。もういつもの光景だが。
熱心に足の上にのせた大判の本を眺めている。
後ろから覗き込むと、生クリームたっぷりのいちごのケーキ、艶やかなレアチーズ、雪を振り掛けたようなガトーショコラ、甘そうな写真がたくさん。腹でも空いてるのだろうか。
「何見てる?」
俺の誕生日は終わったばかり。もうケーキを作る機会はないはずだが。
聞きながら、私子に背中を向け冷蔵庫に向かった。炭酸水、ビール、水、牛乳。私子が持ってきたのだろうペットボトルのウーロン茶、半リットルのいちご牛乳。
炭酸水を手に取った時、後ろからのんびりとした声がした。
「んー…ケーキをちょっとね。」
片方の眉がつり上がるのを感じた。
ソファに戻ると、俺に気付いてスペースを空けてくれる。
そこには座らず、私子の後ろに回って、両足で私子をはさむように腰を下ろした。
前に、後ろから抱き締められるのが好きだと聞いたことがある。
すぐにが私子俺の胸に背中をくっつけた。
「何のケーキだ?」
振り返って、不思議そうな顔をする。
「誕生日ケーキだよ?」
「誰の?」
不機嫌と驚きの交じった声だった。
私子はそれに気付かないのか、気にしてないのか、顔を本に戻し、平然としている。
「マコトさん。来月、誕生日なんだって。」
「マコト?」
そうだったか。確かに、冬生まれだったような気がする。
私子もそれを知ったのは最近らしい。今まで私子がマコトの誕生日を話題にしたことなどない。
「それでケーキの贈り物か?」
今度は不機嫌だとアピールする声。さすがに私子も気付いたのか、少し振り返って、こちらを見る。
「だってマコトさんがケーキ欲しいって…」
やられた。この秋に俺が言ったことをあいつは覚えているらしい。今年の夏も女はいなかったようだし、おふくろさん以外の手作り料理でも欲しくなったのか。もしくは俺へのいやがらせかも。
「あいつは何だって?」
私子がマコトと会ったのは3日前。いつものようにウエストゲートパークで二人は会い、世間話をした。その時に、来月の誕生日も一人寂しく過ごすという話をしたそうだ。
出会いもなし、金もなし、俺やこの街のガキにこき使われて誕生日は終わるだろうな、なんてに私子話したそうだ。そして、いつもはデパ地下のケーキだけど、たまには手作りのケーキが食べたいと呟いた。おふくろは和食しか作れないし、と。
あの口の上手い男なら、私子を操ることくらい訳ないだろう。そしてまんまと私子はあいつの希望通りケーキを作ろうとしている。
余計なことを言うんじゃなかったと、溜息を吐いた。
「やっぱりシンプルにいちごのケーキかな?」
あれで甘い物好きだから、なんて私子が一人ごちる。
どうやって止めるか。同情心を出した私子には、いくらやめろと言っても無駄だろう。押せば押す程、頑固になる気がする。
仕方ないので、骨が折れるような面倒な選択をした。
「そんなの、あいつの彼女に任せておけよ。」
驚いた顔をして私子が振り返る。
「彼女いないんじゃないの?」
「今はな。けど、あいつには今狙ってる女がいるんだ。その女とうまくいきそうにないから、お前に泣き言でも漏らしたんだろう。」
「うまくいきそうにないなら、駄目じゃない?」
「そんな事ない、あいつは女心なんか分からないからそう思っているが、相手もまんざらじゃない。その内にくっつくと俺は睨んでるけどな。」
「そうなんだっ」
顔がぱっと明るくなる。
他人事でも喜べるのはの私子幸せなところだ。
「だから、お前が余計なことして、相手に誤解を与えるのはあまり良くないと思うな。」
折角のチャンスが台無しだろ?と問い掛けると、納得したように大きく頷いた。
「なんだー、余計な心配しちゃったー。誕生日までにうまくいくかなぁ」
「まぁ、誕生日プレゼントに俺が力を貸してやってもいい。二人の時間さえ作れば、どうとでもなるだろ。」
「タカシくん、結構優しいねー」
にこにこと笑う私子の頭を撫でた。
嘘だ。
マコトには狙ってる女もいないし、うまくいきそうな相手もいない。ましてや誕生日にケーキを作ってくれるような女なんて、あいつの周りにはいないと思う。私子を除いて。
例え相手がマコトでも、他の男に私子が料理を作るなんてムカつく。
それを回避するためなら、マコトに女を斡旋するくらい訳ない。
あいつも女の好みにはうるさそうだが、どうにか話の合いそうな女を用意しよう。
なに、すぐに別れたって構わない。誕生日まで時間を稼げればいいんだから。
私子がケーキのレシピを閉じようとするので、開いたページに手を挟んだ。
「モンブランがいい。」
「何が?」
きょとんとした顔で俺を見る。
「マコトさんには作らないって」
「あいつにじゃない、俺にだ。」
「タカシくん誕生日終わったでしょ。」
「誕生日じゃなくてもいいだろ、お前のケーキが食いたい。」
私子は正直に頬を染めて、しどろもどろになる。
「えぇ…、甘いの好きじゃないでしょ?」
「だから、俺用に甘くないのを作れ。いいな?」
唇に触れる指を見てから、私子が俺を見る。潤んだ目。重そうな睫毛。甘い声が震えてる。
「…いいよ、」
砂糖と違って、こいつの甘さは悪くない。
俺のパジャマをかぶっただけだから、太ももはむきだし。もういつもの光景だが。
熱心に足の上にのせた大判の本を眺めている。
後ろから覗き込むと、生クリームたっぷりのいちごのケーキ、艶やかなレアチーズ、雪を振り掛けたようなガトーショコラ、甘そうな写真がたくさん。腹でも空いてるのだろうか。
「何見てる?」
俺の誕生日は終わったばかり。もうケーキを作る機会はないはずだが。
聞きながら、私子に背中を向け冷蔵庫に向かった。炭酸水、ビール、水、牛乳。私子が持ってきたのだろうペットボトルのウーロン茶、半リットルのいちご牛乳。
炭酸水を手に取った時、後ろからのんびりとした声がした。
「んー…ケーキをちょっとね。」
片方の眉がつり上がるのを感じた。
ソファに戻ると、俺に気付いてスペースを空けてくれる。
そこには座らず、私子の後ろに回って、両足で私子をはさむように腰を下ろした。
前に、後ろから抱き締められるのが好きだと聞いたことがある。
すぐにが私子俺の胸に背中をくっつけた。
「何のケーキだ?」
振り返って、不思議そうな顔をする。
「誕生日ケーキだよ?」
「誰の?」
不機嫌と驚きの交じった声だった。
私子はそれに気付かないのか、気にしてないのか、顔を本に戻し、平然としている。
「マコトさん。来月、誕生日なんだって。」
「マコト?」
そうだったか。確かに、冬生まれだったような気がする。
私子もそれを知ったのは最近らしい。今まで私子がマコトの誕生日を話題にしたことなどない。
「それでケーキの贈り物か?」
今度は不機嫌だとアピールする声。さすがに私子も気付いたのか、少し振り返って、こちらを見る。
「だってマコトさんがケーキ欲しいって…」
やられた。この秋に俺が言ったことをあいつは覚えているらしい。今年の夏も女はいなかったようだし、おふくろさん以外の手作り料理でも欲しくなったのか。もしくは俺へのいやがらせかも。
「あいつは何だって?」
私子がマコトと会ったのは3日前。いつものようにウエストゲートパークで二人は会い、世間話をした。その時に、来月の誕生日も一人寂しく過ごすという話をしたそうだ。
出会いもなし、金もなし、俺やこの街のガキにこき使われて誕生日は終わるだろうな、なんてに私子話したそうだ。そして、いつもはデパ地下のケーキだけど、たまには手作りのケーキが食べたいと呟いた。おふくろは和食しか作れないし、と。
あの口の上手い男なら、私子を操ることくらい訳ないだろう。そしてまんまと私子はあいつの希望通りケーキを作ろうとしている。
余計なことを言うんじゃなかったと、溜息を吐いた。
「やっぱりシンプルにいちごのケーキかな?」
あれで甘い物好きだから、なんて私子が一人ごちる。
どうやって止めるか。同情心を出した私子には、いくらやめろと言っても無駄だろう。押せば押す程、頑固になる気がする。
仕方ないので、骨が折れるような面倒な選択をした。
「そんなの、あいつの彼女に任せておけよ。」
驚いた顔をして私子が振り返る。
「彼女いないんじゃないの?」
「今はな。けど、あいつには今狙ってる女がいるんだ。その女とうまくいきそうにないから、お前に泣き言でも漏らしたんだろう。」
「うまくいきそうにないなら、駄目じゃない?」
「そんな事ない、あいつは女心なんか分からないからそう思っているが、相手もまんざらじゃない。その内にくっつくと俺は睨んでるけどな。」
「そうなんだっ」
顔がぱっと明るくなる。
他人事でも喜べるのはの私子幸せなところだ。
「だから、お前が余計なことして、相手に誤解を与えるのはあまり良くないと思うな。」
折角のチャンスが台無しだろ?と問い掛けると、納得したように大きく頷いた。
「なんだー、余計な心配しちゃったー。誕生日までにうまくいくかなぁ」
「まぁ、誕生日プレゼントに俺が力を貸してやってもいい。二人の時間さえ作れば、どうとでもなるだろ。」
「タカシくん、結構優しいねー」
にこにこと笑う私子の頭を撫でた。
嘘だ。
マコトには狙ってる女もいないし、うまくいきそうな相手もいない。ましてや誕生日にケーキを作ってくれるような女なんて、あいつの周りにはいないと思う。私子を除いて。
例え相手がマコトでも、他の男に私子が料理を作るなんてムカつく。
それを回避するためなら、マコトに女を斡旋するくらい訳ない。
あいつも女の好みにはうるさそうだが、どうにか話の合いそうな女を用意しよう。
なに、すぐに別れたって構わない。誕生日まで時間を稼げればいいんだから。
私子がケーキのレシピを閉じようとするので、開いたページに手を挟んだ。
「モンブランがいい。」
「何が?」
きょとんとした顔で俺を見る。
「マコトさんには作らないって」
「あいつにじゃない、俺にだ。」
「タカシくん誕生日終わったでしょ。」
「誕生日じゃなくてもいいだろ、お前のケーキが食いたい。」
私子は正直に頬を染めて、しどろもどろになる。
「えぇ…、甘いの好きじゃないでしょ?」
「だから、俺用に甘くないのを作れ。いいな?」
唇に触れる指を見てから、私子が俺を見る。潤んだ目。重そうな睫毛。甘い声が震えてる。
「…いいよ、」
砂糖と違って、こいつの甘さは悪くない。