Ep.1
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夏休みに私は入っていた。
夏休みに入ったからと言って、別にそこまで成績が悪くない私は、呑気に過ごしていた。
あの衝撃的な出会いから2ヶ月。
日にちにすれば大した日にちではない。
でも彼を知れずとも、音に関して詳しくなるには充分な時間と探究心だった。
「あっ、ここのバンドの音、蘭丸好きになりそう」
そんなことをイヤホンから流れてくる音に思うくらいには重ねられるようになった。
最早、遠回りの道がいつもの道になるくらい歩いてきた。
今日もうだるような暑さの中歩いていた。
雨の日が嘘のようにだ。
この2ヶ月、この場所で蘭丸が弾くことはなかった。
ギターを持つ人達は沢山見た。
でもあの時無意識に足を止めるほどの音ではなかった。
「黒崎蘭丸って幻だったのかな。」
熱く歌っているギターの人を横目に歩く。
「んな、簡単に幻にされてたまるか。」
この声を私は忘れない。同級生にはいないこの低音を。
バッと振り返る、反射的に。
「ら、っ蘭丸!」
随分やつれたようなそんな表情だった。
「…蘭丸…?ねえ、ちゃんとご飯食べてる?」
「…おまえにそんなこと言われる筋合いがあるか?」
確かにそうかもしれない。
年端もいかない私の言葉は届くわけが無い。
「でも…蘭丸、前みたいに生き生きしてない。」
「うっせえ。ただツケが回ってきただけだろ。」
彼の顔に影が差した。
たったあの1回あっただけで私は刺激されていた。
彼の表情が分かるくらいに。
「私が何を言っても仕方ないのは分かってる!!!
でも…自分が信じた音だけは信じて…ほしい…です。」
何を言ってもなんの力にもなれない。
そんな言葉でしか彼を彼でいてもらうことしか私には出来ない。
もっと大人なら違ったのかな。
そんなやるせなさを感じた。
「なぁ、深雪。」
特に感情すら感じないまま名前を呼ばれた。
ただ見据える。
蝉の音も暑さのせいかうるさい程に。
でもそれすらも無に返すようなそんな真剣さは持って。
「おれはコレしかねぇ。」
ベースに目を流す。
「コレ一本でいくしかねぇと思ってる。」
「でも現実はそんな甘かねぇんだ。」
ギリッとなるくらい拳が握られる。
「…。」
何も言えない。何かを言ってしまえば
言葉は軽くなる。
「ざまぁねえよ。もう何が合ってんのかわかんねえ。」
「私は…蘭丸が蘭丸である限り…ファンでい続けるよ。
絶対。」
どうしようも無いなりに口は震えて伝える
「でも蘭丸が諦めたら、私は蘭丸を見つけられない。」
ただのエゴ。
それでも彼の音を聴きたいと思ってしまった。
「私のために蘭丸は音を紡ぎ続けて欲しい。蘭丸の信じた音なら私は絶対あなたを見つけます!!!」
涙ぐんで前が霞む。
それでも伝えたかった。聞きたかった。
あの日それしかないと言った音も歌も本物だったから。
夏休みに入ったからと言って、別にそこまで成績が悪くない私は、呑気に過ごしていた。
あの衝撃的な出会いから2ヶ月。
日にちにすれば大した日にちではない。
でも彼を知れずとも、音に関して詳しくなるには充分な時間と探究心だった。
「あっ、ここのバンドの音、蘭丸好きになりそう」
そんなことをイヤホンから流れてくる音に思うくらいには重ねられるようになった。
最早、遠回りの道がいつもの道になるくらい歩いてきた。
今日もうだるような暑さの中歩いていた。
雨の日が嘘のようにだ。
この2ヶ月、この場所で蘭丸が弾くことはなかった。
ギターを持つ人達は沢山見た。
でもあの時無意識に足を止めるほどの音ではなかった。
「黒崎蘭丸って幻だったのかな。」
熱く歌っているギターの人を横目に歩く。
「んな、簡単に幻にされてたまるか。」
この声を私は忘れない。同級生にはいないこの低音を。
バッと振り返る、反射的に。
「ら、っ蘭丸!」
随分やつれたようなそんな表情だった。
「…蘭丸…?ねえ、ちゃんとご飯食べてる?」
「…おまえにそんなこと言われる筋合いがあるか?」
確かにそうかもしれない。
年端もいかない私の言葉は届くわけが無い。
「でも…蘭丸、前みたいに生き生きしてない。」
「うっせえ。ただツケが回ってきただけだろ。」
彼の顔に影が差した。
たったあの1回あっただけで私は刺激されていた。
彼の表情が分かるくらいに。
「私が何を言っても仕方ないのは分かってる!!!
でも…自分が信じた音だけは信じて…ほしい…です。」
何を言ってもなんの力にもなれない。
そんな言葉でしか彼を彼でいてもらうことしか私には出来ない。
もっと大人なら違ったのかな。
そんなやるせなさを感じた。
「なぁ、深雪。」
特に感情すら感じないまま名前を呼ばれた。
ただ見据える。
蝉の音も暑さのせいかうるさい程に。
でもそれすらも無に返すようなそんな真剣さは持って。
「おれはコレしかねぇ。」
ベースに目を流す。
「コレ一本でいくしかねぇと思ってる。」
「でも現実はそんな甘かねぇんだ。」
ギリッとなるくらい拳が握られる。
「…。」
何も言えない。何かを言ってしまえば
言葉は軽くなる。
「ざまぁねえよ。もう何が合ってんのかわかんねえ。」
「私は…蘭丸が蘭丸である限り…ファンでい続けるよ。
絶対。」
どうしようも無いなりに口は震えて伝える
「でも蘭丸が諦めたら、私は蘭丸を見つけられない。」
ただのエゴ。
それでも彼の音を聴きたいと思ってしまった。
「私のために蘭丸は音を紡ぎ続けて欲しい。蘭丸の信じた音なら私は絶対あなたを見つけます!!!」
涙ぐんで前が霞む。
それでも伝えたかった。聞きたかった。
あの日それしかないと言った音も歌も本物だったから。