私が用意したものは、アイドル独占企画。

夢の為にここまで突っ走ってきた。
どこまで通るのかもわからない。でも通すんだ。
アイドルの恋愛価値観を知りたい女性はいくらでもいる。
触れるのがグレーな質問が沢山あるくらいプライベートのことに近いから。

黒崎蘭丸という人限定にするわけにはいかないから
アイドルにした。
特にこの雑誌は性のことも大っぴらだから
キスや愛撫、セックスの価値観なんてものも
書けちゃったりする。
絶対女の子好きでしょ。

私の時間になった。
コストもかかるがアイドル達からのSNSアピールや彼らのイベントスポンサーで新規読者の獲得がどのくらい上がるか、どのくらいが企画をすれば読み続けるかなど細かく利点を上げていく。

コスト以上のものを提供できる企画だと思っている。


｢……はあ…これ…通るかなぁ…｣
胃がキリキリする。
通ったとしても実現できるのは1年後だ。
準備やら何やらしなくちゃいけないから。
企画のための人材確保、記事の再構成、アイドル達のスケジュール調整…などなどやることは沢山あるわけだ。

別出版社の企画に触発されたのもあった。そして、さりげなく応募してみていた。
アイドルと1日恋人体験。願掛けみたいなものだ…当たるわけない…なんてスマホの画面とにらめっこする。
当たった人には手紙が送られるとかで昨日あたりに発送したらしい。
ちなみに独占できるのはシャイニング事務所大手のアイドル達だ。

寿嶺二
美風藍
カミュ

そして
黒崎蘭丸

なぜこの4人なのか。
1年後に革命が起こる気がして
今回のコンペに飛び入りした。

その頃に記事が作れるように。

でもどこまでいけるか分からないし通らないってことも普通だ。

｢深雪ちゃん。｣
｢あれ？先輩も会議終わったんですね！お疲れ様です｣
｢素敵な案だったわ。最後まで残るんじゃないかしら｣
？という顔をしてしまったのか香山さんは笑っていた。
｢あら？言ってなかった？私も今回審査してるのよ？｣
｢え、っええええ！？聞いてません！｣
｢結果はまだまだ先だけど、いい応えがあるといいわね｣
香山さんもまさか…そうだとはつゆ知らず…
先輩の後輩が不出来なんて思われたく無い。
やるしかない。

いつだってそうやって、やってきた。

諦めるのだけは、どうも性にあわない。
あなたを追いかけると見つけると決めた時から。