青鬼様
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......まただ、またこの話をすると大人たちの表情は険しくなり、周りの空気を重くする。
一拍の間を置いた後、今まで聞いた事のないくらい低い声で「入ってこい」と言った。
緊張の糸に雁字搦めにされたように動かない体。断絶された空間に吹き抜ける風が周りの木々を揺らし、不気味さを増幅させていく。
動かない体に戸惑っていると、玄関の扉が引かれ、じいちゃんが顔を覗かせる。
「何ボサッとしとるんだ。早く入れ」
まるでロボットになったかのようにぎこちない動きで、一歩ずつ足を進める。
「こっちだ。そこ座れ」
言われるがままに足を動かし、腰を降ろした。
「それで。単刀直入に聞くが、なんでまたお前は青鬼について知りたいなんて言い出した」
「俺......青鬼と出会って、その...両手合わせるの忘れて......」
「......何やっとるんだ、お前は。喰われるぞ」
「そのことでじいちゃんに聞きたくて......なぁじいちゃん、両手を合わせるの忘れたら喰われる前に何か、回避できるような手立てはないのか?何か他に、青鬼について知ってること教えてくれよ」
「悠、お前......どんな結果でも聞く覚悟は出来てんのか?」
「え...」
「青鬼の云い伝えには表の話と裏の話があるんだ」
「表と裏......じゃあばあちゃんが言ってた話は嘘だってのか!?」
「別に嘘って訳じゃないさ。いいか、悠。世の中ってのは全てに表と裏があるんだ。裏ってのは簡単に言やぁ秘密だ。大きく分けて秘密にも2種類あってな、誰にも言っちゃならねぇ隠し事と、誰かと交わした大事な約束とがある。青鬼の云い伝えは前者に当たる話だ。この話は代々この村の長になる奴が引継ぎの際にその真実を言い伝えられるもんだ。俺もなぁ聞いた時にはそりゃあ吃驚したもんさ。そんなお伽噺みてぇなもん信じるほうがどうかしてるってな。悠、これ見てみ」
そう言うとじいちゃんはよれよれのシャツの襟元に指を引っ掛け、自分の鎖骨辺りを見せてきた。
そこには青黒い色の鬼火のような模様が刻み込まれていた。
「これも代々村の長に引き継がれるモノの一つだ。俺が村の者に余計な話をしないようよく分かんねぇ呪いみてぇなもんもかけられてるらしい。家族とも引き離された、俺は別にこの村の長になんてなりたかった訳じゃなかったのにな」
話していくうちに悲壮感を漂わせていくじいちゃん。
「だからな、あまり青鬼についての話は出来ねぇんだ」
「でも、それじゃあ!俺はこのまま死ぬしかないのか?話せる範囲で良いんだ、頼むよじいちゃん!!」
話せる事が無いと言われて少しずつ失われていく冷静さ。思っていた展開じゃない、むしろもっと重い。この村の秘密。
「すまねぇな、もし話せる事があったとしても青鬼から回避するなんてのは、俺の知っている話にはねぇんだ。お前を見捨てるようで悪いが、知らねぇもんは知らねぇんだ。ほんとすまんな」
目の前が真っ暗になるってのはこういう事なのか。
深くて重い、沼のそこに落ちていくような......水面に手を伸ばしても、その手を取るものは誰もいない。誰も助けてくれない。
底なしの沼の死へと続く道。
「俺、死にたくない......」
一拍の間を置いた後、今まで聞いた事のないくらい低い声で「入ってこい」と言った。
緊張の糸に雁字搦めにされたように動かない体。断絶された空間に吹き抜ける風が周りの木々を揺らし、不気味さを増幅させていく。
動かない体に戸惑っていると、玄関の扉が引かれ、じいちゃんが顔を覗かせる。
「何ボサッとしとるんだ。早く入れ」
まるでロボットになったかのようにぎこちない動きで、一歩ずつ足を進める。
「こっちだ。そこ座れ」
言われるがままに足を動かし、腰を降ろした。
「それで。単刀直入に聞くが、なんでまたお前は青鬼について知りたいなんて言い出した」
「俺......青鬼と出会って、その...両手合わせるの忘れて......」
「......何やっとるんだ、お前は。喰われるぞ」
「そのことでじいちゃんに聞きたくて......なぁじいちゃん、両手を合わせるの忘れたら喰われる前に何か、回避できるような手立てはないのか?何か他に、青鬼について知ってること教えてくれよ」
「悠、お前......どんな結果でも聞く覚悟は出来てんのか?」
「え...」
「青鬼の云い伝えには表の話と裏の話があるんだ」
「表と裏......じゃあばあちゃんが言ってた話は嘘だってのか!?」
「別に嘘って訳じゃないさ。いいか、悠。世の中ってのは全てに表と裏があるんだ。裏ってのは簡単に言やぁ秘密だ。大きく分けて秘密にも2種類あってな、誰にも言っちゃならねぇ隠し事と、誰かと交わした大事な約束とがある。青鬼の云い伝えは前者に当たる話だ。この話は代々この村の長になる奴が引継ぎの際にその真実を言い伝えられるもんだ。俺もなぁ聞いた時にはそりゃあ吃驚したもんさ。そんなお伽噺みてぇなもん信じるほうがどうかしてるってな。悠、これ見てみ」
そう言うとじいちゃんはよれよれのシャツの襟元に指を引っ掛け、自分の鎖骨辺りを見せてきた。
そこには青黒い色の鬼火のような模様が刻み込まれていた。
「これも代々村の長に引き継がれるモノの一つだ。俺が村の者に余計な話をしないようよく分かんねぇ呪いみてぇなもんもかけられてるらしい。家族とも引き離された、俺は別にこの村の長になんてなりたかった訳じゃなかったのにな」
話していくうちに悲壮感を漂わせていくじいちゃん。
「だからな、あまり青鬼についての話は出来ねぇんだ」
「でも、それじゃあ!俺はこのまま死ぬしかないのか?話せる範囲で良いんだ、頼むよじいちゃん!!」
話せる事が無いと言われて少しずつ失われていく冷静さ。思っていた展開じゃない、むしろもっと重い。この村の秘密。
「すまねぇな、もし話せる事があったとしても青鬼から回避するなんてのは、俺の知っている話にはねぇんだ。お前を見捨てるようで悪いが、知らねぇもんは知らねぇんだ。ほんとすまんな」
目の前が真っ暗になるってのはこういう事なのか。
深くて重い、沼のそこに落ちていくような......水面に手を伸ばしても、その手を取るものは誰もいない。誰も助けてくれない。
底なしの沼の死へと続く道。
「俺、死にたくない......」