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Blood Memories

 ゴーン、ゴォーン、と街に響かせる教会の鐘の音は澄んだ空気を震わせ、窓際に目を瞑り佇む少女の耳を柔らかく刺激する。
 鐘の音を堪能した少女はそのまま大きく深呼吸をすると、部屋を飛び出した。

「お父さまー」

 バンッと勢いよく開けられた扉。沢山の本に囲まれた書斎のようだ。窓の近くに置かれた椅子に座るのは優しく微笑むお父様と呼ばれる男。

「こらこらアフィスタ、扉は勢いよく開けるものではないよ。そうでないと......扉が泣いてしまうからね」

 途中から自分が扉であるかのようにしくしく涙声に話す男に少女、アフィスタは慌てたように先程乱暴に当てた扉をごめんね、と労わるように撫でる。それを見た男は椅子から立ち上がりアフィスタの元へ行くと、

「ちゃんと謝ることが出来たね。アフィスタはとても優しい子だ」

 そう言って男はアフィスタの両脇に手を入れ抱え上げると、椅子の方へ戻りアフィスタを膝の上に乗せて座った。膝の上に乗せられたアフィスタはニコニコとした表情を浮かべている。その表情を見た男は僅かに姿勢を正し軽く咳払いをするとアフィスタに問いかけた。

「さて我が愛しのプリンセス様、今日のご予定をお聞かせ願いましょうか?」
「えへへ~今日はねぇ~こちらを読んでいただきたいの!」
「おや、これはお祖母様の日記だね」
「おばあさま?」
「あぁ、アフィスタにとっては曽お祖母様だけどね。僕も小さい頃に何度か会ったぐらいしか記憶はないけれどとても美しい方だったよ」

 男はあの頃を思い出しながらその表情は優しく微笑んでいた。それを見たアフィスタは目を輝かせた。

「この日記は僕も読んだことなかったけど。そうだね、これを機に僕もお祖母さまのことを知るのも良いかもしれないな」
「フィーアも!」

 元気よく言ったアフィスタに男は微笑みながら、一度日記を机の上に置くとアフィスタの向きを変えるため両脇に手をいれ座り直させた。

「さぁアフィスタ、お祖母さまの日記じんせいを見てみようか」
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