三人寄れば
名前変換について
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2分前のこと
「総悟総悟!早く戻ってこい!!で、どうだったんだ?やっこさん、なんで自殺なんかしようとしてたんだ!?」
「ありゃ痴情の縺れですねィ、男がいるみてぇでさ、ノーマルの」
「ノーマルの?関係ねぇだろ今それ」
「で、その男にフラれたかなんかして自殺しようと……なんてかわいそうな娘なんだ!!」
「なんかしてってなんだ。テキトーすぎんだろ近藤さん」
「よし、わかった!!この(二次元)恋愛マスターの俺が、あの娘の心の闇を晴らしてやろう!!」
そう言って何故か半泣き状態の近藤は、女へと歩みを進めた
長年の経験で彼女を説得しようと足には力がこもっている
一仕事を終えた沖田に対して土方は不安な表情を広げている
「頑張って下せェマスター。あ、いやベーション」
「なんつーあだ名つけてんだよ!!近藤さんに怨みでもあんのか!こ、近藤さん、しっかりな!!」
おう!とだけ返事をして振り向きはしない
そして声をかけた
「怖いよね~」
またなんか来た
あの変態少年と入れ替わりに、今度はゴリラがやって来た
さっきの子に比べると随分体格もよく、冬の海の、しかも真夜中に出会うには恐すぎる
言葉を出せずにいると男は隣に座りだした
「……わかるよ、君の気持ち……報われないって辛いよね」
男は既に泣いていた
「え………は、はい?」
いきなり大人の男が泣き出して、しかも鼻水は垂れてるし体は震えている
一体何が起こったのか、理解が出来なかった
「俺もね……好きなひ……彼女がいるんだけど……全然甘えてくれないんだ。それどころか照れ隠しで酷い罵声や、時には暴力なんかも振るわれてね……惚れた弱みさ……敵わねぇ」
ずずっと鼻を啜りながら話し始めた男は遠くを見たままだ
自分の身の上話を始めてしまった人間を一人取り残す事も出来ずに、女も腰を下ろした
「か、彼女さん、冷たい……ですね。貴方はとても尽くしてるみたいなのに……」
その言葉を聞いて男はさらに涙を零す
他人に優しくされたのは久しぶりな気がした
「もともと高嶺の花だったからよ……付き合えただけで十分だったんだ。けどよ、付き合いだしたら欲が出てきちまって……ああして欲しい、こうして欲しいって……独占欲強いのかなぁ俺って……」
「そ、そんなことないと思いますよ?私だって……彼を独占したいって思っちゃいますし……普通の心理だと思います。変な感情じゃありませんよ」
「そうかな……うぐっ!!」
成り行きとはいえ、名前も知らないゴリラ男の背中をさすろうなど、誰が想像してここに来ただろうか
この人は彼女とうまくいってないのね
そう思えば誕生日プレゼントを貰えた自分は取り分け幸せ者だ
そのプレゼントを無くすなんて………
諦めかけていた落とし物を探す意欲が再び湧いてきた
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