三人寄れば
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「は?」
「へ?」
素っ頓狂な声を出して土方と沖田は後ろを振り返った
近藤の指の先を目を凝らして見つめる
薄暗い浜辺にぼうっと浮かんだ人影
長めの髪が無造作に揺れる女が確認出来た
「――――!!!お、おばっ、おばば……!!ダメだろアレ、見えちゃダメなやつだろアレェェ!!」
誰よりも青ざめて、土方は近藤の影に身を潜めようと必死だ
しかし思うように足が動かない
唯一の苦手分野である幽霊
かもしれないものが目の前に現れて、土方はかなりテンパっている
「ちょっ!トシ痛い!ねぇあれお化けだよね!?うわっ、初めて見た俺!!」
強く掴まれた痛みで我に返った近藤は興奮気味に口を開いた
「馬鹿!お化けを見世物みたいに言うんじゃねぇ!祟られっぞ!!」
「いや、幽霊なんて見世物みたいなもんでしょうよ。見られたくて出てくるんじゃねェんですか、あいつら」
「あいつらってどいつらだよ!あんま煽る様な事言うんじゃねぇ!!」
「というか……アレ本当に幽霊なんですかねィ?」
「「え!?」」
沖田より大分年上の二人の声が見事にハモった
「や、だって……足あるし透けてねェし……そりゃここからじゃよく見えやせんけど…………むしろこれから幽霊になろうとしてるように見えるんですけど」
「「えェエエエエ!!??」」
驚きの声をあげた二人だったが、沖田の言う事にも一理ある
一理というかその方がどれだけ安心出来る事だろうと土方は思う
しかしそれはそれで大問題なわけで
今まさに目の前で自殺を図ろうとするならば、それは阻止せねばなるまい
「な、何?何なの!?お化けなのか人なのか、ねぇどっち!?」
「だから人ですよありゃあ。これから海に沈むつもりなんでさァ、きっと」
「沈むって……それなら止めなきゃダメだろ!!」
「はい、言い出しっぺ。土方さん行ってきて下せェ」
「無理!!!」
いつの間にか近藤にしがみついてる土方は即答だった
「トシ!なんてこと言うんだ!俺達がやらないで誰がやるってんだ!?ほら、さっさと説得してきて!」
「だからなんで俺なんだよ!総悟、お前が行け!!」
年上の上司の異様なまでのビビりは後でからかうとして、とりあえず目の前の自殺志願者らしき人物をなんとかしようと沖田はめんどくさそうに歩きだした
後ろでは「ちゃんと説得しろよ!」だとか「ドSは封印だかんな!」とか、行く勇気はないのにデカイ事ばかりほざく声が煩かった
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