俺のお姫様
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鬼の形相の副長が屯所の廊下を歩く
普段ならそんな副長に近付くのは自殺行為だと、誰もが距離を置く日常風景
だが今日は違った
胸に抱かれた幼い少女
土方の前髪をいじったり、目をつり上げられて遊ばれて、回りの隊士は笑いを堪えるのに必死だった
「ぷすすっ……くく……ふ、副長、おはようございぷすすっ」
「お前後でゼッテーぶった斬ってやるからな!覚えと「きるとか言っちゃダメなんだー!お母さんに怒られるんだー!」
「ぎゃはははは!!副長!最高ッス!後で斬られても本望です!!ぷすす!!」
「ぐっ……!!」
肩に少女が乗ってる限り、威厳も糞もなかった
あれから多数決で決まった
ここが警察である限り、理由はどうあれこの子を保護しなければならない
手紙によると今日一日らしいし、何より名指しで言われちゃあ反論出来なかった
少女を預かる役を嫌々ながら引き受けた土方は、それを担いで部屋に戻る途中
一体何回笑われたのか、恥ずかしくて納得いかなくて、早くニコチンを摂取しなければならない状態だった
「ここぉ?とおちろうのお部屋?」
「あぁ、大人しくしてろよ?散らかしたりしたら怒るからな」
「はーい!!」
元気な返事とは裏腹に、いきなりグルグル部屋を走り回る少女
積み重ねてあった書類は崩れ、あわや墨まみれになるところだった
「あああああ!!!おいコラ!走るんじゃねぇ!!風が……!」
「だってここ広いんだもーん!ゴリラさんのお部屋みたいにテーブルもないしー!ブーン!!」
「ブーンじゃねぇ!アラレちゃんか!!やめろっ……お願いだからやめてくれ!!」
「ちゃんと姫ってよんでくれたらやめるー!」
「わかったから!はい!ほら!お姫様!姫姫姫!!」
「えへへ~……とおちろうすきぃ……」
ピタッと動きを止めると、ハニカミながら足にまとわりつく
それがこの子の好意の表れだと、土方はようやく悟った
「はぁ……ダメだ。もう限界じゃねぇの?これ」
「ダメじゃない!姫ととおちろう、仲良くなれるよ!」
そのまま手を繋がれてグルグル回った
一体なんのお遊戯が始まったのかと、土方はされるがままだ
誰が何のために自分を名指しして預けてきたのか
迎えはいつくるのか
体はグルグル、頭もグルグル
土方は目眩で倒れそうだった
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