大将の嫁


接待であの店は出来る限り使うな
過去の女の話はするな(といっても志村妙とは何もないのだが)

久しぶりにぶちギレて、はははと苦笑いをする近藤さんに嫌気がさした
溜め息をつく俺をまぁまぁとなだめようとするのが尚更勘に障る


「でもよ、なーんでトシにそんなこと言ったのかなぁ」

「んなもん知らねぇよ。側近に言っときゃなんとかなると思ったんじゃねぇの?」


そう素知らぬ顔をした俺は、内心優越感の塊だった

後日、お礼がしたいと呼ばれた近藤宅で、笑顔の嫁さんを見た時は複雑な心境だった
が、それは顔には出さず嫁さんとたわいもない話をしていた

突如「十四郎くんにプレゼントがあるの」と、立ち上がったのと同時に煙草をくわえた


「あ、待って!煙草吸わないで!」


そう言い残して奥にプレゼントとやらを取りに行く嫁さん
戻ってきて包みを渡されると、開けろと顔が言っていた


「………ジッポ?」


包みの中はジッポだった
外側にマヨネーズの形が彫られたあまり見かけないもの


「それ見かけた時、思わず買っちゃったの。絶対十四郎くんに渡そうって」


愛用しているマヨ型ライターもそろそろ買い換え時か?なんて思っていた矢先の贈り物に素直に喜んだ


「いいのか?本当に」

「だって十四郎くんには迷惑かけたもの。それに凄く感謝してるし………受け取って?」


言いながらジッポ用のオイルを取り出す
が、どう入れ換えたらいいのかわからないらしく、えらく手間取っている
その仕草がなんだか可愛らしくて暫く見ていたが、どうにもダメなようで「貸してみ?」と手を出した

途端、手と手が触れて、まるで思春期のように反応してしまい、ジッポもオイルも床に転げた


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