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「随分用意がいいじゃねぇか」
向かい合って杯を交わす高杉が喉で笑いながら口を開く
「そうね、なんでかしら……女のカンってわかる?」
じゃあ銀時のは何なんだと思うと笑えた
「……高杉こそどうしたの?ついに私でも殺しにきた?」
「それも悪くねぇが……それは銀時殺る時にとっとくぜ、お前を人質に取れば楽だろうからな」
「お前の顔を見に来たくらい言えないの?やっぱりダメね、意外にモテないでしょ高杉」
「どうして俺がお前の顔ごときで足を運ばなきゃなんねぇ、偶然だ」
「偶然で人は不法侵入とかするんですか」
「俺はもう人間じゃねぇよ」
ああ言えばこう言う
銀時ともそうだったが、この高杉とも昔っからこんな調子だった
一見物静かに見えてお互いに意地っ張り
気付けば喧嘩になっていたりすることも珍しくない
それが今もかと思うと我ながら情けなくなってくる
「……いいや……飲も、高杉」
とっくりを傾けて高杉のそれに注いだ
風呂のお陰で既に頬が赤い芽衣に促されると、少しだけ……ほんの一瞬だけ高杉の右目が細くなった様だった
ゆっくりと飲み進めながらたまに口を開いてみたりする
目が合い「なぁに?」と問えば「なんだ」と返ってくる
そんな事の繰り返し
数年ぶりにあったというのに上手く会話を運べない
運ぶつもりも無いのかもしれない
酔い醒ましにか、席を立ち窓を開ける高杉
「もっと開けていいよ。随分酔ってるみたいだし」
「…………じゃあな」
「………帰るの?」
窓から入って来たのだろう
ならば帰りも同じ道をと手をかける
「……また明日、な」
「あんたまた不法侵入するつもり?別に来なくていいんだけど」
クックと口角を上げると飛び降りた
身を乗り出して見送ったりなんてしない
まだ晩酌は終わってない
トクトクトクと鳴りながら杯を満たす酒に見とれて、溢れていることに気付くのが遅れる
「……あんたの"嫌な予感"的中ってとこかしら?銀時」
唇を寄せ、音をたてながら啜った
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