俺の女
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その言葉に一番驚いたのはもちろん芽衣だった
下を向けていた顔を上げ横を見る
真顔の沖田を怪訝そうに見つめた
「芽衣っていうんでさァ、可愛いだろィ。惚れねーで下せェよ?土方さん」
「いや……初めて会ったのにそれはねぇだろ。つか……なんで俺に紹介?」
相変わらず酷い言葉を投げ掛けてくる相手に宣戦布告
芽衣の手を力強く握った
「あ、あの……総悟、くん?事情が飲み込めないんだけど……」
「……告白だろィ、芽衣。お前が好きなんでィ」
「ちょっ……俺邪魔じゃね?戻るからな」
早々に戻る土方を、それでも微かに愛おしい瞳で見送る芽衣の視界を遮った
今度は、今度こそは自分を見つめてもらおうとそのまま手を引く
あの人よりはデカくないし、足りねぇところも沢山ある
それでも想いだけは負けていない
きつく抱きしめて伝えたかった
「そ、ご…くん……冗談はやめて?こんなことされても私……」
「わかってる……芽衣がまだどっかで土方さんを想ってることくらい」
「違っ……!わ、私は別に……ただ………怖いだけ、だよ……」
「…………何、が?」
答えを知っているのに意地悪だった
怖いのは土方さんと……
「人を……好きになる、のが……」
沖田の胸の中で芽衣は小さく呟いた
「信じられねぇか?俺が」
「……わからないよ」
「毎日アピールしてただろィ」
「……………」
「カラダ目的ならとっくに襲ってる」
「……………」
腕の力を弱めると、少し離れて見つめ合った
困惑したような潤んだ瞳を向ける芽衣をしっかり受け止めて、沖田は言葉を続ける
ようやく自分の気持ちを伝えられたかと思うと、結果がどうなろうと心が軽くなった気がした
「芽衣、お前が好きでィ。過去に何があろうと関係ねェんでさァ、俺はお前が好きなんでィ」
「総悟くん……」
ようやく愛の告白に頬を赤らめた芽衣だったが、素直にそれを受け入れられない
それくらい避けてきた自覚があった
「……ダメだよ、私総悟くんの事傷付けてきたもの……誰かとどうこうなれる資格ないよ」
「それはあんたも同じだろィ?傷付いた事のねェ奴の方が俺ァお断りだねィ」
諦めるつもりは無いことを告げられた芽衣は、まだ戸惑って最後に尋ねた
「……どうして私なんかを……?」
「………土方さんが相手だったから…………かもしれねェ。好きになった理由なんざわかんねェっての」
そう言われて考えた
自分が土方の何を好いていたのか
顔だったか声だったか、はたまたただの憧れだったのか……
ただ好きというだけで理由なんて覚えていない
そういうものだったんだと思うと、肩の力が抜けて笑みがこぼれた
「…………ちゃんと……お友達から、なら……」
「ほ、本当に……いいんでさァ!?」
「総悟くんなら……信じてもいいかなって……わっ!?」
再び抱きしめられると素っ頓狂な声を上げた
けれど抵抗はしない
そっと胸に体を預けてみた
「もう遠慮はしやせんぜ?土方さんの前でもどこでも……手ェ繋いで歩くんでィ!!」
いきなりそんなの恥ずかしいよと言いながら、まんざらでもなさそうに笑みをこぼす芽衣を見て安心した
ようやく通じた想いに胸が熱くなるのを感じる
当分あの人の影は消えないかもしれない
それが原因で喧嘩になるかもしれない
それでも芽衣に惚れたきっかけもそれだから……
なんだかんだで土方様々だねィ
.
終
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