俺の女
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警察手帳を見せると芽衣の両親は大きく目を見開いていた
上がり込みながら大した用ではないと告げたがやはりそこは親
部屋の前までついてきたのを追い返すのに苦労した
コンコンと控えめにノックをすれば中から声が聞こえる
「お母さん?何?」
お母さんじゃないから返事をしないでドアを開けると、見たことのない部屋着の芽衣が驚いた顔を見せた
「……こんばんは……」
言ってみたものの返事はない
まだ目をパチクリさせて俺を見ている
反応がないから勝手に入って勝手に座った
「ど……どうしたの……?なんで家に……」
「芽衣があまりにも俺の誘い断るんで、来ちまった」
「誘いって……」
しらばっくれる様に目を泳がせたのが図星で傷付く
だがイコール俺が嫌いとは思いたくない
ただあの人を避けてるだけ
そうに違いない
「芽衣……外に行きやしょうぜ?夜の散歩だって中々いいもんだぜ?」
「い、嫌……!総悟くん、わかってるくせにどうしてそんな事いうの?意地悪しないでっ」
「……土方さんは今晩書類にかかりっきりでさァ、だから大丈夫でィ」
「でも……」
「行きやしょう」
有無を言わさずな感じで強く出ると、下を向き黙り込む芽衣
そっと手を取り微笑みかけた
ドアを開けると両親が心配そうに立っていて、連れて行くと言うと悲鳴に近い声を上げる
そういう意味の連行ではなかったが、説明が面倒で「すぐ帰ってきやす」とそれだけ言って外に芽衣を連れ出した
準備も何もしていない部屋着の芽衣は、恥ずかしそうにもじもじ小股で歩いている
それに合わせてゆっくり歩く
会話はなかったが、手は出て来た時のまま、繋がっていた
「腹空いてねェかィ?」
首を振る
「どっか行きたいとこはねェのか?」
また同じ
ただひたすら歩いてたどり着いたのは屯所だった
「いや……!!」
わかってはいたが突如手を振り払ってその身を強張らせる芽衣
それでも再び手を掴むと、次は逃げられないように力を込めた
そして空いた手でケータイをいじる
メールを打ち終わって数分後、芽衣の顔から血の気が引いた
「……なんだ総悟、俺はてめぇと違って忙しいんだ」
部屋で書類整理をしていた土方が着流し姿で門の前に現れた
多少疲れた感じのその姿でも、芽衣にとっては何も変わらない初恋の相手
無惨に終わった初めての相手
繋いでいた手に力が入り、汗ばんでくるのがわかった
「すいやせん土方さん。メールでも言いやしたが話がありやして……」
「だからなんだよ……つか……そちらさんは?」
さすがに気付いて尋ねてきたが、芽衣が芽衣であることには全く気付いていない
何度目かの失望をまた味わう羽目になった芽衣は、唇を噛み締めて俯いた
「あぁ……こっちは俺の彼女でさァ」
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