隠し事
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始末書なんか手につくわけもなく、ただただ時間が過ぎるのを待つ
もちろん何も無いに越したことはない
近藤さんの意識がはっきりした状態で帰ってくる事だってあるんだ
なんとかプラス思考でいようとするも、悪戯に煙草が減るばかり
どうせなら門の前で待伏せるか?
なんなら店まで迎えに行ってやろうか
どうにか回避する策はないかと考えていると、ひたりと微かな足音が聞こえた
間違いない……芽衣だ
そんなもの確認しなくたってわかりきった事
隊士達に気を遣ってか、それとも身を潜めている為か、極僅かな足音だ
残念ながら芽衣の考えは変わらなかったらしい
重たい腰を上げると静かに部屋を出て芽衣を追った
暗い門前にたたずむ芽衣
今夜も何かに期待して近藤さんを待っているのか……
「……おい、何してやがる……」
突然話し掛けられて、肩がピクリと動いた
「……土方さんこそどうなさいましたか……?」
上辺のやり取りは面倒くせぇ
さっさと切り出す
「部屋戻れ。給仕係りだからって、ここまでやれとは言ってねぇよ」
「……嫌です……お願いですから私に構わないで下さい。土方さんこそおやすみ下さい」
「いいから戻れ、命令だ。副長に逆らうなんてこたァしねぇよな?」
「…………局長を待ってます……」
俺より上の役職を出せば怯むとでも思ったか?
普段呼ばない呼び方で近藤さんを語った
「命令だっつってんだろ!!」
背を向ける芽衣の腕を取り屋敷に引き返す
「ちょっ……土方さん!」
文句を言って抵抗するが、そんなモン聞こえねぇ
容赦なく引っぱる
土足だろうがなんだろうが自分の部屋に引きずり込むと、乱暴に腕を離したせいで芽衣は倒れた
「ったぁ……!何するんですか土方さん!ほっといてって言ってるじゃないですか!!」
尻餅をついたまま下から睨みつけられる
見下ろす俺はなんとか冷静を保とうと必死だった
「……いいか芽衣、近藤さんが帰ってきて寝るまでここから出るんじゃねぇぞ」
「嫌です!近藤さんをお迎えする事が私の仕事です!!」
「仕事じゃねぇだろ!!私欲だろっ!!」
その言葉に芽衣の口が止まった
「お前は近藤さんの記憶が無いのをいい事に、自分の行き場のない気持ちを満たそうとしてるだけじゃねぇか……お前が誰を好きでも構わねぇよ……けどな、こんな事して傷付くのはお前なんだよ!!誰の為でもねぇ!お前の為にやめてくれ!!」
心からの願いだったが胸が痛くなる
"誰を好きでも構わない"
どうして俺じゃねぇんだと苦しくなった
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