隠し事
名前変換について
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
毎日毎日懲りもせず、志村妙を追いかける近藤さん
正直あんなバイオレンス女の何処がいいのかと正気を疑う
生傷は絶えることがなく、日に日に加減がきかなくなってきているのが手に取る様にわかる
いや……
いいんだ
近藤さんが誰に惚れようと俺には関係無いことだし、ただあの犯罪行為をやめてくれさえすれば
否
違うだろ
それはただの綺麗事だ
頼む近藤さん
もっと回りを見てくれ
あんたに惚れてる女がいるんだ
志村妙だけに注がれるその視線を
一秒でいいから向けてやって欲しい女がいるんだ
情けを掛けてやってくれとは言わねぇ
ただ
少しでいいから気付いてやって欲しいんだ
芽衣の事を――……
「どうしました?土方さん」
ぴたりと筆を持つ手が止まった土方を不思議そうに見つめる芽衣
「あ、あぁ……なんでもねぇよ……」
とっさに返して筆を進める
「冷めちゃいましたねお茶……煎れ直します」
給仕係の芽衣は慣れた手つきで仕事に取り掛かった
この仕事に就いて何年経つだろうか、こうやって隊士達の部屋を訪れては茶を入れたり、時には雑務を任されたりしている
給仕なんて辞めさせて、個人的に小姓として傍に置きたいなんて思ってるのはもちろん秘密
そして今、俺はコイツを呼んだ
「土方さんはまだお休みになられないのですか?」
熱い湯呑みを差し出しながら芽衣が聞いてきた
「ん……これが書き終わるまではな……あぁ……もう下がっていいぜ」
そろそろ日付が変わりそうな時間だった
そんな事も気付かずに芽衣を長居させていた
「……いえ……もう少し、居させて下さい……」
そう答えた芽衣は、障子を開けて外を眺めている
外の何を見ているのか
空か
月か
ひとつ言えるのは
俺の事は見ていないということ
「………近藤さんはまだ帰ってないのか?」
「はい……お妙さんのところだと思います……」
芽衣が振り向きながら閉めた音で、舌打ちが掻き消された
「ったく近藤さんも毎夜毎夜あんな店に行かなくたっていいだろうが!何が楽しくてあんな店に……」
「お妙さんが居れば場所なんて関係ないんですよ、近藤さんは」
にこっと痛々しい笑顔を見せられて、自分の犯した失態にヘドが出そうになる
「……わ、悪ぃ……」
「何がですか?変な土方さん」
芽衣は俺が何も知らないと思っている
近藤さんに抱いている自分の好意は誰にも悟られていないと
そんなものすぐに気付いた
何故なら俺が芽衣を好いているから……
「もう寝ろ」
退室を促してお開きにした
.